2013 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸エステルから発生する有機金属反応剤によるグリニャール型反応
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24655085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 良一 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20273477)
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Keywords | ニッケル / 求核付加 / 酢酸アリル / アルデヒド / (π-アリル)錯体 / 電子移動 / 有機金属触媒 / 極性転換 |
Research Abstract |
25年度は、24年度に引き続き酢酸アリルの極性転換を経るアルデヒドへの求核付加について検討し、この反応に高い活性を示す触媒反応系の構築を目指し、その成果を応用して酢酸アリールのアルデヒドへの求核付加について検討する予定であった。 そこで、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)と各種ホスフィン配位子から反応系中で発生する触媒を用い、亜鉛を還元剤として、シクロペンチルメチルエーテル中、反応温度80℃でp-メチルベンズアルデヒドと酢酸アリルとの反応を試みた。その結果、単座ホスフィンを配位子とした場合、目的とするホモアリルアルコールはほとんど生成しなかったが、二座ホスフィン配位子を用いると目的生成物の生成が確認された。特に、フェロセン骨格をもつDPPFあるいはビフェニル骨格をもつBIPHEPを用いることにより、GC収率60-70%で1-(4-メチルフェニル)-3-ブテン-1-オールが得られた。さらに、1,10-フェナントロリンを配位子とした場合、収率24%でしか目的生成物は得られなかったが、N,N-ジメチルアセトアミドを溶媒とすることによって収率は55%まで向上した。この1,10-フェナントロリン-ニッケル触媒系を用い、さらなる反応条件の最適化を行った結果、ヨウ化ナトリウムあるいは臭化カリウムを添加して収率は向上し、単離収率70%で目的のホモアリルアルコールを得ることに成功した。 さらに、酢酸アリルのかわりに酢酸クロチルおよび酢酸3-ブテン-2-イルを用いて本触媒的求核付加を試みたところ、どちらの場合も2-メチル-1-(4-メチルフェニル)-3-ブテン-1-オールがsyn:anti比6:4で得られた。この結果は、本触媒的求核付加が(π-アリル)ニッケル中間体を経由して進行していることを示唆している。
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