2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655086
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
北村 充 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10313199)
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Keywords | らせん不斉 / ヘリセン |
Research Abstract |
ヘリセンの内部は優れた不斉環境であり,そのらせん内部に窒素原子などの配位部位を持つ化合物を合成出来れば優れたらせん不斉反応剤となると期待される。1,14-ジアザ[5]ヘリセン(1)はらせん型のねじれた構造をとるヘリセン内部に窒素原子を有する化合物である。1の共役酸のpKaは10.3であり,一般のピリジンと比べて高い塩基性を有する。これは,有機塩基触媒として用いられるN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)とほぼ同程度の値である。従って,1は不斉塩基触媒として利用できると期待されるが,1自身を用いている限りそれは難しい。アザヘリセン1のらせん不斉の異性化は早いためである。アザヘリセン1の7, 8位の二つ炭素がsp3炭素となるアザヘリセン型化合物(擬アザヘリセン,1’)の窒素周辺の環境はアザヘリセンと大きく変わらない。擬アザヘリセンも,アザヘリセン1と同様にらせん不斉を維持できないが,1’の7,8位にヒドロキシ基が置換したトランスジオールについては,そのジオールが置換した炭素の中心不斉を制御することができればそのヒドロキシ基を足がかりにらせん不斉を制御することが出来ると期待される。本研究では新たならせん不斉反応剤として擬アザヘリセンジオールを取り上げその合成を目的として検討を行った。その結果,シス体の擬アザヘリセンジオールの合成法を開発し,さらにこのジオールから2段階でトランス体のジオールへと誘導することが出来た。
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Research Products
(2 results)