2013 Fiscal Year Research-status Report
チェーンウォーキングを経るジエン類の革新的環化異性化反応の開発
Project/Area Number |
24655088
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70396779)
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Keywords | 環化異性化反応 / チェーンウォーキング / パラジウム触媒 / シクロペンタン誘導体 |
Research Abstract |
本研究において今年度はまず1,n-ジエン類の環化異性化反応の基質適応範囲の拡大を目指し、シクロヘキセン以外の内部オレフィン部位をもつ1,n-ジエンに関して検討を行った。鎖状内部オレフィン部位をもつ1,8-ジエンを用いてフェナントロリンパラジウム錯体による環化異性化および酸化白金による水素添加反応を行ったところ、シクロヘキセン部位をもつジエンと同様に五員環骨格が形成し、C2対称であるシクロペンタン誘導体がGC収率91%、ジアステレオマー比>98:2で得られた。続いて、オレフィン間の距離の異なる鎖状ジエンを用いて検討を行ったところ、1,7-ジエン、1,9-ジエン、1,10-ジエンおよび1,14-ジエンより五員環化合物がGC収率77-91%で得られた。 一方、これまで本反応の利用法は、環化異性化後に得られた異性体混合物に対して酸化白金を用いた水素添加反応を行うことにより、水素化体として化合物を得る手法に限られていた。そこで、本反応において主生成物として得られる環化体の精製法の検討を行った結果、オレフィンと銀との相互作用によりオレフィン異性体の分離が報告されている硝酸銀シリカゲルカラムクロマトグラフィーが、本反応において生成する異性体混合物に対しても効果的であることがわかった。シクロヘキセン部位をもつ様々な1,n-ジエン(n = 7-14)の環化異性化後、この手法を用いて精製を行ったところ、主生成物である二置換オレフィンを単離収率50-75%で得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非環状オレフィン部位を2つもつ基質の検討については進められているが、環化異性化後のオレフィン部位の収束を狙った検討については未だに基礎的な知見を集めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
チェーンウォーキングを経る1,n-ジエン類の環化異性化反応の基質適用範囲の拡大を続けると共に、最終生成物のオレフィン部位を効果的に収束させられる基質および触媒系の開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述のように、非環状オレフィン部位を2つもつ基質の検討については進められているが、環化異性化後のオレフィン部位の収束を狙った検討については未だに基礎的な知見を集めている段階であるため、それに伴う試薬等の購入がやや遅れている。 環化異性化後のオレフィン部位の収束を狙った反応基質および触媒系の検討が進められていく中で、必要になった試薬等の購入を進めていく。
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Research Products
(4 results)