2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655095
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 喜光 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00531071)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 大環状化合物 / 分子認識 / 超分子ポリマー |
Research Abstract |
生体分子の多くはイオン性のポリマーである。生体はそのポリイオンを上手に認識し生命活動を行っている。本申請研究は、多官能性大環状化合物の一次元集合体によるイオン性ポリマー認識、特にATPやDNAに代表されるポリリン酸認識に焦点を当てて研究を行っていく。ここで大環状化合物の一次元集合化によって形成されるチャネルを利用したポリマーの“長さ”認識を基本とした新しいコンセプトを提案する。これまでのアニオン認識研究の多くはアニオンを包み込むように認識しており、ポリマーの認識は困難であった。これに対し本研究では、イオン性ポリマーを“貫通”させて認識する“三次元認識”という新しいコンセプトを提示しこれまでのイオン認識研究とは一線を画した研究を開拓していく。 初年度は当初最適な大環状化合物の合成を目標としていたが、すでにチアゾールを4つ含む大環状化合物がリン酸と相互作用できるという予備的知見が得られていたことから、研究の効率を考え、この化合物でのリン酸の認識挙動を追求することとした。検討の結果、驚くべき事にこの化合物は溶液中のみならず固体(液晶)状態においてもリン酸を包摂することが確認された。さらに注目すべきは、リン酸を取り込んだ大環状化合物の液晶状態での相転移温度がリン酸を含まないものに比べて上昇していることである。これは、不純物であるはずのリン酸が液晶相を安定化していることを意味しており、固体状態においてもリン酸を認識していることを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
固体状態でのリン酸の認識という驚くべき事実は、当初予想されていなかった事であり、研究計画にはなかったものの、液晶中での分子認識という新たなコンセプトを提示できたことは大きい。溶液中でのリン酸認識も合わせて検討することにより新しい分子認識システムの構築が可能になると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度までで得られた溶液中及び固体状態(液晶状態)でのリン酸認識能の知見をさらに発展させ、リン酸ポリマーの認識への展開を行う。リン酸イオンの認識はすでに種々の報告が存在するが、研究の目的である“3次元認識“を示すため、過去のリン酸イオン認識の対象ではなかった種々のリン酸ポリマーの認識を行う。リン酸ポリマーの中には、リン酸がアルキル基で結ばれたポリマーや、リン酸が直接脱水縮合したポリリン酸等生体機能にも重要な役割を果たしているといわれるポリマーを用いる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(8 results)