2014 Fiscal Year Annual Research Report
イタコン酸の不斉環化反応による高性能ポリアミドの合成
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24655099
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
金子 達雄 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (20292047)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高分子合成 / ポリアミド / イタコン酸 / アミノ酸 / ピロリドン / ステレオコンプレックス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度までイタコン酸とアミノ酸の一種であるグリシン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンを用いてピロリドン環を有する光学活性な二酸を得られることを報告した。平成26年度では、まずジアステレオマー分離を行う予定であったが極めて困難であることが判明した。そこで、上記の二酸を用いたポリマーの構造物性に関し報告する。 まず、側鎖の構造が若干異なるロイシンとイソロイシンを用いてポリアミドを合成した。イタコン酸とL-イソロイシンから成る二酸とアルキルジアミンを反応させたところ、数平均分子量が2万程度のポリアミドが得られた。そのガラス転移温度Tgは97-136℃であり一般のナイロンのTg(60℃程度)よりも高い値となった。また、力学強度は130MPaを超え、ヤング率は2.2GPaを超える繊維を得ることが出来、充分に応用出来るレベルの力学物性であった。これは剛直な環構造を持つためと考えられる。次に、L-ロイシンとペンタンジアミンを合成し、その物性を比較した所、Tgはイソロイシンの方が20℃程度高く、力学強度も50MPa程度高いことが分かった。イソロイシンの側鎖の光学活性基が何らかの相互作用を生み出したと考えた。そこで、L-ロイシン/ペンタンジアミン系の物性を改善するため、D-ロイシン由来のポリアミドを合成した所、L体の時と殆ど同じ熱力学物性であった。一方、L体とD体のロイシン由来二酸を等量混合し、ノナンジアミンとの間でポリアミドを合成した所、Tgは117℃まで上昇し力学強度が126MPaまで向上した。また、DL混合系のポリアミドは単独系とは異なる結晶構造を示し、かつ結晶化度が2倍程度高かった。これは、ステレオコンプレックス形成の証拠でもあり、各種非対称モノマーからの立体構造制御された高い熱力学物性を持つバイオプラスチックを得ることが出来た。以上により目標を達成できた。
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