2012 Fiscal Year Research-status Report
添加物を用いない高分散性薬剤ナノ粒子作製法の開発と粒子の応用展開
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24655113
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有田 稔彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50423033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪 浩 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40396255)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ医薬品材料 / 超微粒子 / 有機ナノ結晶 / コロイド / 結晶成長 / 過飽和溶解 |
Research Abstract |
平成24年度は、当初の計画通り薬剤のナノ粒子製造装置の製作・改良により、安定した無添加物含有かつ高分散性薬剤ナノ粒子作製に取り掛かり、実際にそれを達成した。ナノ粒子の結晶形操作についても真空チャンバーを準備し、粒子成長環境を制御することで、まずは得られるナノ粒子の結晶状態をアモルファス状にすることに成功している。現在結晶状態のナノ粒子を作製することに取り掛かっており、部分的に結晶化した粒子を得ることに成功している。(完全に結晶粒子になっているかどうかは、測定法が難しく、測定装置等に工夫が必要である)また、無添加でナノ粒子化することで、それまでは実際にデータを取ることが難しかった、薬剤の飽和溶解度を向上させる(10%程度の過飽和溶解を起こす)事を示すデータを得ることが出来た。この点は大変重要な成果で、物理化学の常識に再考を促すものであり、また、結晶(粒子)成長や熟成機構の実験的検討を可能にする可能性を秘めており、学術的に重要である。過飽和溶解が可能であるという実験的事実は、それを踏まえた新しい製剤デザインにつながると期待される。 また、天然物のナノ粒子化は、薬剤以上にインパクトが大きい。天然物の場合薬剤と比べて摂取量が大きく、本研究によるナノ粒子化法により得られる利点(添加物を用いない)が大きい。そのため、天然物ナノ粒子分散(水溶)液の分散安定度を向上させる試みを始めており、翌年度にこの点について重点的に行った研究成果を報告できると期待している。 以上のように、実験室の移動という不利な条件が有ったにも関わらず、当初の研究計画以上の成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画通りに研究が推移している。研究場所の移動に伴い、実験不可能な期間が数カ月有ったことを考えると、計画以上に推移していると言っても過言でないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤だけでなく、天然物もナノ粒子化のターゲットであり、無添加でナノ粒子化することによる利益がより大きい材料を用いた研究へ重点的を移しながら研究する。また、過飽和溶解現象の発見は、物理化学的意味が大変大きいため、薬剤ナノ粒子の実際の薬効調査に先立って、過飽和溶解現象の物理化学的解明・理解に取り掛かる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、本年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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[Book] 高圧力の科学と技術 特集:高圧力技術によるナノマテリアル創製研究の最前線 「超臨界水熱プロセスによるナノ粒子の合成とハイブリッド化―粒子表面改質による相反機能材料開発―」2012
Author(s)
阿尻 雅文, 新井 智宏, 石川 佳澄, 上野 真孝, 上田 正孝, 岡田 拓也, 大島 英紀, 中川 孝行, 福島 敬二, 前田 重之, 宮田 建治, 森下 丈弘, 山縣 利貴, 高見 誠一, 青木 宣明, 有田 稔彦, 他
Total Pages
89-96
Publisher
高圧学会