2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655114
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鍋島 達弥 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80198374)
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Keywords | 超分子化学 / 分子認識 / 芳香族化合物 / 金属錯体 |
Research Abstract |
基本骨格となるトリサロフ配位子や拡張したπ平面部位をもつ含チオフェントリサロフ化合物の合成、およびその多核金属錯体を合成した。またフェニル基を導入したモノサロフおよびトリサロフのニッケル錯体、パラジウム錯体、白金錯体の合成についても検討し、ESIMSや元素分析からその構造を同定した。興味深いことにモノ体のパラジウム錯体は反磁性であるが、トリサロフ体の場合はESRを測定することができ、ラジカル種の生成が示唆された。こうして得られたトリサロフパラジウム錯体とHOPGとの相互作用について電子顕微鏡での観察を行ったが、きれいな配列構造を見出すことができなかった。金属錯体でないトリサロフ配位子の場合はグラファイト表面に配列させることが可能であることがわかったが、分子の形が明確になるほどの分解能の高い像を得ることができなかった。STMの測定には高い技術が必要であるため、最も適した条件を見つけることができなかったのが最も大きな原因であり、これが今後の課題として残った。 テルピリジンやジピリドアクリジン誘導体の白金錯体を合成し、このチオラト錯体がコロネンと比較的強い相互作用を示すことがわかった。特に、ジピリドアクリジン錯体ではより強い会合力を示した。また矩形構造のホストで、同様な白金錯体部位をもつ分子の合成にも成功した。この分子もコロネンに対して大きな会合定数を示した。さらに、分子の長軸方向がより長い矩形錯体を合成したところ、ペンタセンやテトラセンなどの細長い芳香族化合物を非常に強く取り込むことがわかった。合成したこれらの矩形錯体と炭素表面との相互作用について検討するには至らなかったが、非常に強い芳香族化合物との相互作用が明らかになり、グラファイトとの相互作用が期待される結果が得られた。
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Research Products
(28 results)