2013 Fiscal Year Annual Research Report
高度撥水表面上での水蒸気凝結ダイナミックスと濡れ性の逆転移
Project/Area Number |
24655117
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 章 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00302795)
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Keywords | 超撥水 / 跳躍 / 水滴 / 電界 / ベーマイト |
Research Abstract |
ランダムな構造の粗さを持つ表面をベーマイト(AlOOH)ナノ粒子を用いて作製し、撥水性シラン(FAS17, ODS)をCVD法によりコーティングして超撥水性表面を作製した。この試料をペルチェ素子により冷却し、Top およびSideの2方向から高速度カメラを用いて水滴の自発跳躍を撮影した。表面が露点以下に冷却されると結露が進行し、水滴の自発跳躍現象が観察された。2.5 msまでのTop viewとSide viewの観察から、大きな二つの液滴が合体、変形し、形状回復した後、自発跳躍が生じていることが判った。FAS17およびODSの表面エネルギーはおおよそ16 mN/m, 22 mN/mと見積もられた。FAS17をコーティングした表面の方が、ODS表面よりも自発跳躍頻度が大きかった。また、AlOOH量が少ない試料の跳躍頻度が高くなった。これらはいずれも撥水性の違いや分子柔軟性の違いに起因する、固液界面の接着仕事の違いに起因するものと考えられる。これらのことは、水滴内部の粘性散逸エネルギーだけではない、固体表面組成や粗さの違いに起因する散逸エネルギーの存在を示唆している。 液滴同士の合体について界面エネルギー変化の理論計算を行い、超撥水表面への結露の進行とともに、複数の水滴が合体して一つの液滴になる時の界面減少に伴う安定化エネルギーが、水滴の自発跳躍の運動エネルギーに変換され、跳躍することが判った。この時,跳躍速度は合体前の水滴径の組み合わせに依存して変化した。また、傾斜表面における観察から、跳躍頻度が一定周期で低下・回復を繰り返し、水滴除去性能が維持されることが明らかになった。また、外部から電界を作用させると、水滴の跳躍頻度と跳躍高さが増加,水滴除去性能が向上した。この現象には水滴の帯電に伴うクーロン力の寄与が考えられた。
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Research Products
(2 results)