2014 Fiscal Year Annual Research Report
希少金属を含まずに室温でリン光を発する有機分子の創製
Project/Area Number |
24655122
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 正毅 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10272709)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 室温リン光 |
Outline of Annual Research Achievements |
イリジウムなどの希少金属を含まずに室温で効率よくリン光を発する有機分子の創製を目的として、1,4-ビス(アロイル)-2,5-ジハロベンゼンを設計し、その合成と物性評価を進めた。その結果、ハロゲンとしてヨウ素が置換する誘導体では室温リン光は残念ながら観測されなかった。それに対して、ハロゲンを臭素とする誘導体においては室温リン光が発現することを明らかにした。具体的には、アロイル基が4-トリフルオロメチル基である誘導体からは青色リン光(発光極大波長448 nm)が、3-チエニル基である誘導体からは青緑リン光(発光極大波長 498 nm)が、4-メトキシフェニル基である誘導体からは緑色リン光(発光極大波長 530 nm)を観測した。すなわち、アロイル基の種類を変えることにより発光色を変化させることができることがわかった。なお、リン光の同定は、発光寿命測定ならびに発光の低温測定などにより行った。また、それぞれの発光量子収率は、0.18、0.14、0.05であった。室温、大気下という測定条件において、しかも固体サンプルからこのようにリン光発光が認められたことは、励起三重項状態は通常、室温、大気下においては容易に失活してしまって全く発光に至らないという一般的傾向を考慮すると、大変注目すべき結果であり、特に量子収率が0.18を記録したことは特筆に値する。まとめると、分子設計の工夫により希少金属を含まない有機分子から室温においてリン光を取り出すことが可能であるとともに、発光色調節のためにはアロイル基の電子構造を変えることが有効であることを明らかにした。
|