2013 Fiscal Year Annual Research Report
巨大な環構造の光開閉機能を持つフォトクロミックナノリングの創成
Project/Area Number |
24655125
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
津田 明彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20359657)
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Keywords | 超分子 / 光化学 / フォトクロミズム / 有機化学 |
Research Abstract |
本研究課題では、光照射に伴いナノスケールの大きな構造変化を誘起できる新規マクロサイクルの構築を目指し、環状オクタピロール骨格にアゾベンゼンユニットを導入した化合物(Az8P)およびジアリールエテンを導入した化合物(DE8P)をデザイン・合成した。これらの分子は、光照射によって大きく構造を変化させ、ナノスケールの内部空間の形状・大きさが劇的に変化すると期待される。本課題では、それら光刺激応答性分子の合成に成功し、それらの光異性化挙動を調査した。 (1)多段階の合成ステップを経てAz8P の合成に成功した。Az8Pに対して、350 nmの光を照射したところ、NMRスペクトルにおいてcis体由来の新しいピークの出現を確認でき、積分比から、transからcisへの異性化率は33%であることを見出した。エチレンスペーサーを導入していない環状オクタピロールの0%に比べ、異性化率の大きな向上が見られた。また、詳細に解析すると、trans-trans体 : trans-cis体 : cis-cis体 = 51 : 32 : 17 (%)であり、trans-cis体よりも、cis-cis体の方が若干ながら構造的な安定化を受けていることが示唆された。 (2)多段階の合成ステップを経てDE8P の合成に成功した。ジアリールエテン部位が閉じた構造を持つDE8Pに対して、紫外光を照射すると、ほぼ定量的にopen型構造に光異性化することを見出した。その際、大きな色の変化が確認され、フォトクロミックナノリングとしての機能を有することがわかった。 本研究において我々は、二種のフォトクロミックナノリングの開発に成功した。これらをプロトタイプとして、様々な構造修飾を施すことによって、より高性能のフォトクロミックナノリングの開発につながることが期待される。
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Research Products
(3 results)