2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655126
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30280580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 大介 電気通信大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50270468)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | イオン液体 / メタロセン / 触媒 |
Research Abstract |
本研究は、イオン電導性を有する液体触媒を開発し、触媒反応、特に電気化学的物質転換に適用するものである。有機金属類のうち、特にルテノセン錯体は良好な触媒能を持つことが知られている。私たちが見出した分子設計指針を用いてこれらの錯体をイオン液体化すれば、イオン電導性を持つ液体触媒が実現する。 本年度は、配位子部分に種々の骨格を導入したアレーンルテニウム系錯体触媒を合成し、そのイオン液体化を実現した。かさ高い配位子を要するため、通常のサンドイッチ型メタロセン錯体に比べてやや高融点・高粘度ではあったものの、合成物のおよそ半数はイオン液体化した。これらの安定性、熱物性、および配位子交換に対する反応性を評価した。さらに、シクロヘキサノールの酸化反応、およびシクロヘキサノンの還元反応について触媒活性を調べた。活性は配位子骨格および反応条件(pH、酸化剤ほか)に大きく依存した。アルコール酸化については、良好な転換率を示す液体触媒が実現した。ただし反応中に触媒が分解する傾向が認められ、イオン液体としてのリサイクル性は必ずしも高くないことが分かった。この点は今後の課題である。一部の系では酸化反応と酸化剤の分解の競合が見られた。酸化反応に対して高活性を示したイオン液体は、ケトンの還元反応に対する活性はいずれも低いことがわかった。骨格の一部を親水性置換基に交換することで、ケトンの還元反応に対する触媒活性を持つイオン液体が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に挙げた一連のハーフメタロセン系錯体触媒のイオン液体化に成功し、分子骨格と液体物性、および分子骨格と触媒活性の間のおおまかな相関をつかむことができた。このことにより、今後の物質系の見通しが具体的に立ちつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえ、イオン電導性液体触媒の開発を継続する。活性の認められたイオン液体について、触媒反応をより詳細に調べる。液体の粘度および電導性を評価する。これらの液体触媒を塗布した電極、およびゲル化剤を添加して作成したフィルム・ゲルを装着した電極を作成し、それらの電極触媒としての性能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費を物品費70万円、旅費20万円、その他20万円として使用予定。
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