2012 Fiscal Year Annual Research Report
光増感能をもつ多孔性錯体フレームワークの構築と新規固体触媒反応への挑戦
Project/Area Number |
24655134
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 良雄 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70150498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 多孔性錯体 / 光増感作用 / ビタミンB12 / 固体触媒 / 脱ハロゲン化反応 / 官能基1,2-転位反応 |
Research Abstract |
近年、種々の多孔性錯体フレームワークが合成され、ガス吸着剤や高分子合成触媒としての応用が活発に研究されている。本研究では、多孔性錯体フレームワークに新たに光増感機能を付与した錯体フレームワークを創製し、可視光を駆動力とした固体触媒の開発を目指した。光増感剤としてはルテニウム錯体を用い、触媒分子としてはビタミンB12モデル錯体を用いた。多孔性錯体フレームワークを構成できる金属イオンとして亜鉛(II)イオンを採用し、補助配位子、光増感能をもつルテニウム錯体の組み合わせにより、大きな空孔を有する多孔性錯体フレームワーク構築した。多孔性錯体の合成法として、水熱合成法を用いた。種々の条件で多孔性錯体の合成を行い、X線構造解析により構造を明らかにした。 多孔性錯体は、「光増感剤空孔取込型」を創製した。この大きな内部空孔に、イオン交換により光増感剤(ルテニウム錯体)及びビタミンB12モデル錯体を導入し、光増感能をもつ多孔性錯体を構築した。多孔性錯体はアニオン性の錯体であるため、カチオン性のルテニウム錯体やビタミンB12モデル錯体(コバルト錯体)はイオン交換により導入することができた。取込挙動は、溶液中のビタミンB12モデル錯体の吸収の減少、取込んだ錯体の拡散反射スペクトルやICP-MSなどにより検討し、取込比率を明らかにした。多孔性錯体フレームワークに導入した光増感剤は可視光により励起され、ビタミンB12モデル錯体を還元して活性なCo(I)種を生成した。Co(I)種は超求核剤として機能するので、有機ハロゲン化物の脱ハロゲン化反応が可能である。すなわち、本固体触媒を用いた可視光照射による有機ハロゲン化物(環境汚染物質)の分解反応に成功した。また、官能基の1,2-転位反応にも成功した。
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Research Products
(9 results)