2012 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素の再資源化によるグリーン・イノベーションへの挑戦
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24655138
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 教授 (20211914)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / ルテニウム / ロジウム / 均一系触媒 / 付加環化反応 |
Research Abstract |
高難度の二酸化炭素を直接用いる有機合成反応の開発に先立ち、二酸化炭素と等電子構造を有し、取り扱いが容易なケテンを用い、ルテニウム錯体触媒存在下でのアルキンおよび一酸化炭素の触媒的分子間 [2 + 2 + 1] 共付加環化反応の最初の例を見出した。例えば、Ru3(CO)12 触媒存在下、ジフェニルケテンとジフェニルアセチレンとの反応を、トルエン溶媒中、一酸化炭素 20 気圧加圧下、160 ℃で 20 時間行うことにより、対応する 2-フラノン誘導体が収率 92% で得られた。Ru3(CO)12 錯体以外にも、0価のRu(η4-cod)(η6-cot) および Ru(η6-cot)(η2-dmfm)2 錯体 [cod = 1,5-cyclooctadiene, cot = 1,3,5-cyclooctatriene, dmfm = dimethyl fumarate] が高い触媒活性を示し、対応する 2-フラノンがそれぞれ収率 78%、69% で得られた。一方、2価のルテニウムカルボニル錯体として、[RuCl2(CO)3]2 を触媒として用いた場合には、目的とする 2-フラノンは全く得られず、ケテンとアルキンとの1:1付加反応が進行した分子量 372 の生成物が得られ、これは [2 + 2] 共付加環化反応による4員環生成物と考えられる。さらに本反応は、ルテニウム錯体触媒に特徴的な反応であり、Rh6(CO)16 や Co2(CO)8 等の他の遷移金属カルボニル錯体を触媒として用いた場合には全く進行しなかった。 本反応が進行したことは、より高難度のジイン、エンイン類と二酸化炭素との触媒的共付加環化反応や、二酸化炭素、アルキン、および一酸化炭素の触媒的 [2 + 2 + 1] 共付加環化反応が進行する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究により、二酸化炭素と等電子構造を有するケテンを用い、アルキン、一酸化炭素との触媒的新規共付加環化反応の開発に成功した。本研究成果は、平成25年度に二酸化炭素をC1源として用い、ジイン、エンイン類との新規触媒的共付加環化反応、および二酸化炭素、アルキン、一酸化炭素との新規触媒的共付加環化反応を開発する上で、極めて重要な知見であり、工業原料中間体として重要なラクトンや無水マレイン酸誘導体の革新的新合成法を開発する目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
二酸化炭素と等電子構造のケテンを用いる新しい触媒反応を開発した平成24年度の研究成果を踏まえて、平成25年度は、二酸化炭素をC1源として用いるジイン類、あるいはエンイン類との共付加環化反応の開発を行い、メタラサイクル中間体の生成を鍵とする双環ラクトンの触媒的新合成法の開発を行う。次に、より高難易度のアルキン、二酸化炭素、および一酸化炭素との新規 [2 + 2 + 1] 共付加環化反応について検討を行い、従来のベンゼンの直接気相酸化反応では合成不可能な置換無水マレイン酸の革新的合成法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
50万円以上の備品は購入しない。消耗品費(試薬、ガラス器具等)、旅費(研究成果の学会発表、研究資料収集・調査等)、謝金(英語論文の校閲費等)、その他(機器修理費、廃液処理費等)で使用する。
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Research Products
(5 results)