2013 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の再資源化によるグリーン・イノベーションへの挑戦
Project/Area Number |
24655138
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 教授 (20211914)
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Keywords | 二酸化炭素 / 均一系触媒 / イッテルビウム / ギ酸アミド / アミノベンズアミド / キナゾリノン |
Research Abstract |
我々はこれまで二酸化炭素から容易に誘導可能なギ酸誘導体をC1源として用いる触媒的有機合成反応の開発を行い、既に、ルテニウム錯体触媒存在下、2分子の芳香族アミンと1分子のホルムアミドとの反応により、アンモニアと水素の発生を伴い、 N,N’-二置換尿素誘導体が高収率で得られることを見出し、錯体レベルで本反応の反応機構を解明し報告している。本年度の萌芽研究では、このルテニウム錯体触媒反応を、複素環化合物合成法へと展開することを目的として、2-アミノベンズアミドとホルムアミドとの反応について検討を行った。本反応においても、ルテニウム錯体触媒が、先の尿素合成と同様の触媒機能を示すと仮定すると、本反応の生成物としては、キナゾリン-2,4(1H,3H))-ジオンが得られると考えられたが、実際にはカルボニル基が還元された 4(3H)-キナゾリノンが得られることが明らかとなった。キナゾリノン骨格は、メタカロンやケタンセリン、ゲフィチニブなどの生理活性物質の基本骨格であり、その触媒的ワンポット合成法の開発は、有機合成上重要と考えられる。触媒としては、塩素配位子を有するルテニウム錯体が高い触媒活性を示したことから、本反応では Lewis 酸触媒が高活性を示す可能性が示唆された。種々検討を行った結果、水中でも安定な Lewis 酸である Yb(OTf)3 が最も高い触媒活性を示し、2-アミノベンズアミドとホルムアミドから 4(3H)-キナゾリノンが定量的に得られることを見出した。本反応において、ホルムアミドはヘテロ環構築のための有用なC1源として使われている。従って、今後は直接、二酸化炭素をC1源として用いる触媒的ヘテロ環構築法の開発へと展開する。
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Research Products
(8 results)