2012 Fiscal Year Research-status Report
オガクズから高温炭化したナノ炭素材料を正極とする1次ー2次空気電池の開拓
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24655141
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
安東 孝止 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60263480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 友紀 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20294340)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 空気電池 / 炭素バッテリー |
Research Abstract |
亜鉛ー空気電池の初めての2次電池化を特殊な炭素素材からなる正極(酸素極)を使用して進めた。この空気電池の最大の特徴は、酸素極(正極)を構成する炭素素材にある。再生資源としての炭素材料を目指し、バイオ資源(木材粉末、ヤシガラ等を高温炭化過程で製造した特殊な電気伝導性・活性炭を使用した。この活性炭は、貴金属触媒なしに、酸素(気体)から酸素イオン(水酸化イオン)へ解離する機能と、そのイオンを高濃度に貯蔵(充電)-放出(放電)する特殊な機能を発現する。 2013年度で得た空気2次電池の基本特性は、V(解放:充電後)=1.5~1.8Vで、以下の2次電池特性を検証した。 1 100mAh放電条件で15~20Ah/kgのエネルギー密度を有する。この値はPb蓄電池と同等の値で、さらに全炭素系スーパーキャパシタ―の2~3倍の優れた値である。 2 充電・放電容量の比(効率)=80~83%まで向上 3 寿命サイクル回数は現在250回を超えている(継続中) 本二次電池は、多くの二次電池の中で、最も資源・環境に適合した低価格な二次電池であり、多くの自然エネルギー(太陽電池、風力発電、地熱発電など)を活用するための大規模な蓄電池として、高い潜在能力を有していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1 蓄電容量の増加:亜鉛-空気電池の2次電池化については、正極として用いる炭素素材に対して、高温(約900℃)での水素処理を施すことにより、正極炭素材料に結合している酸化不純物を除去し、2次電池作用を行うイオンとの反応性を高めることができた。その結果として蓄電容量の増加を実現し、15-20Ah/kgの2次電池容量を実現することができた。 2 正極炭化素材の新らたな機能開拓:本研究に於ける亜鉛-空気電池の正極の機能としては、当初、空気中のO2分子を正極炭素素材の触媒能力により解離し結果としてOH-を生成する能力に注目して研究を進めていた。しかし、いくつかの2次電池実験を進める中で、更に新しい機能が本研究の2次電池動作に関与していることを見出した。それは、充電時に正極で生成されるOH-をその炭素素材が吸着吸蔵する機能である。この新たな機能を見出したことから、空気電池の2次電池化としての性能向上だけでなく、新たな2次電池を実現する糸口を見つけることができた。また、現在の研究では正極で電池作用を生じているイオンは主にOH-であると考えているが、炭素素材との親和性が高ければそれ以外のイオンによる2次電池も考えられ、より高性能な2次電池を実現するための可能性を広げられた。
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Strategy for Future Research Activity |
①亜鉛-空気電池の2次電池化:これについてはさらなる蓄電容量の向上と、繰り返し寿命の確保に向けた課題に対する研究を進める。 ②2次電池応用研究:亜鉛-空気2次電池を実用水準で実証した。この2次電池の応用として、太陽光発電における発電電力の平準化と電力貯蔵用途を計画している。この分野には大規模かつ大容量で低コスト(材料資源の調達性も含めて)な2次電池であることが求められており、本研究で進めている2次電池はその分野においては現在実用化されている鉛蓄電池やリチウムイオン電池を凌駕する特徴を発揮できる可能性がある。この蓄電コストを含めた具体的な応用実証研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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