2013 Fiscal Year Research-status Report
葉酸依存性RNAメチル化酵素はDNA複製の制御因子なのか
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24655156
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
堀 弘幸 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20256960)
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Keywords | RNA修飾 / DNA合成 / tRNA / メチル化 / メチル化酵素 / チミジル酸合成酵素 / 葉酸 / 真正細菌 |
Research Abstract |
本研究では、葉酸依存性RNAメチル化酵素が、DNA合成系に及ぼす影響(RNA修飾とDNA合成がリンクしているのかどうか?)を調べることを究極の目標としている。研究期間は3年であり、平成25年度は2年目にあたった。 初年度の平成24年度に、葉酸依存性RNAメチル化酵素の基質特異性に関する論文をまとめることができ、第一目標がクリアできたので、平成25年度はその遺伝子破壊株を野生株と比較しながら、培養実験を行なった。最初、この培養実験では、栄養豊富な培地を使用していたが、葉酸やアミノ酸の供給量が葉酸依存性RNAメチル化酵素のメチレンテトラヒドロ葉酸消費量を上回ってしまうことが判った。すなわち、メチレンテトラヒドロ葉酸の細胞内循環(再生)経路からの補給量以上に外部からの供給量が多い条件では、遺伝子破壊株と野生株の間に明確な差異を見出せない。そこで、幾つかの合成培地を試し、葉酸およびアミノ酸供給量がぎりぎり生存可能なレベルを探した。ほぼ3か月かけて最適条件を探すことができた。 この培養システムを用い、放射性標識したチミジル酸、チミジン、セリンなどを用い、tRNAおよびDNAへのメチル基供給量を測定した。その結果、野生株の場合、セリンに由来するメチル基は1:4の割合でtRNAのメチル化とDNA合成に割り振られるという結果が得られた。葉酸依存性RNAメチル化酵素遺伝子破壊株では、すべてがDNA合成に供給される。幾つかのデータベースを探したが、このようにtRNAとDNA合成へのメチル基供給量を調べた文献はなく、これはかなり新しい知見ではないかと思っている。現在、種々の培養条件を調べ、生育曲線に合わせて、いかにメチル基供給割合が変化するのかを調べている。 なお、学会発表では初年度に得られた知見のみを発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、研究計画の2年目であり、初年度に達成した目標をスタート地点とし、最終的なゴールに導くまでの過渡期であると考えている。研究実績の概要に述べたように、葉酸依存性RNAメチル化酵素遺伝子破壊株の培養実験に着手し、幾つかの障害はあったものの最適条件を探りあてることに成功し、順調に解析が進んでいる。これは、ほぼ申請時に想定していたペースであり、「おおむね順調に進展している。」と判断した。また、学会発表も行えており、研究成果の公開状況も、まずまずであると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は予定していない。 現在は、得られている結果の再現性を確認し、どれぐらい普遍的にみられる現象なのかを調べる必要があると思っている。 研究成果を平成26年度にまとめれるかどうかは、時間との戦いに入っていると感じている。
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Research Products
(3 results)