2012 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖高分子ナノ微粒子によるバイオセンシング材料の開発
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24655157
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳子 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335069)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖高分子 / 硫酸化糖 / バイオセンシング / グリコサミノグリカン / ナノゲル |
Research Abstract |
N-アセチルグルコサミンを基本骨格として、アクリルアミドフェニル型の硫酸化糖モノマーの合成を行った。3位または4位または6位を位置選択的に硫酸化したN-アセチルグルコサミン、及び3,4,6位N-アセチルグルコサミンのモノマーを得た。このモノマーをアクリルアミドと共重合して、硫酸化糖鎖高分子の合成を行った。また、グルクロン酸についてもモノマー化、高分子化を行った。これらについて、グリコサミノグリカンに基づく機能があるかの解析を行った。まず、直線状のポリマーについては、アルツハイマー病関連酵素のβセクレターゼの阻害活性があることを明らかにした。また、界面活性剤の存在下、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸などとラジカル重合を行い、ナノゲル粒子の合成を行った。硫酸化糖を有するナノゲル粒子については、ヘパリンやヘパラン硫酸と結合する細胞成長因子との結合性があることがわかった。ヘパリンやヘパラン硫酸といったグリコサミノグリカンの模倣機能としては、3,4,6位硫酸化N-アセチルグルコサミンが最も優れた結合活性を示すことが、βセクレターゼ、細胞成長因子との結合アッセイより明らかになった。 また、糖鎖高分子でできたナノゲル粒子を構成要素としたバイオセンサーについて検討を行った。糖鎖高分子ナノゲルを固定化し、構造色によるバイオセンシングを検討し、タンパク質ターゲットを特異的かつ大きな容量でセンシングできることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに硫酸化糖、硫酸化糖の直線高分子、硫酸化糖ナノゲル粒子、糖鎖高分子を用いたバイオセンシングについてそれぞれ課題が進展しており、当初の予定通り順調に計画が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
硫酸化糖ナノゲル粒子がVEGF、FGFといった細胞成長因子と結合するこ戸がこれまでに明らかになった。正常細胞、がん細胞を用いて、ナノゲル存在下での細胞成長に対する影響について検討を行う。細胞成長因子と結合することによって癌における血管新生の抑制、癌化の抑制について検討を行う。また、ナノゲル粒子を認識要素として、細胞成長因子をはじめとする、ターゲットタンパク質の検出手法について検討を行う。一方で、硫酸化糖については、2位のN硫酸化グルコサミンのモノマー及びN-アセチルガラクトサミンの合成を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度研究では、研究費は主に実験用の消耗品に充てる。また、昨年度からの研究で得られた結果について学会発表するために旅費を計上しており、日本糖質学会、日本化学会で発表予定である。
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