2013 Fiscal Year Annual Research Report
G-C塩基対よりA-T塩基対を安定化させることによる新規DNAナノスイッチの開発
Project/Area Number |
24655161
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
杉本 直己 甲南大学, 先端生命工学研究所, 教授 (60206430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建石 寿枝 甲南大学, 先端生命工学研究所, 助教 (20593495)
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Keywords | DNA / ワトソン・クリック塩基対 / フーグスティーン塩基対 / 熱力学的解析 / 分子動力学的計算 / イオン液体 / 分子クラウディング / DNAセンサー |
Research Abstract |
昨年度の研究で、DNA二重鎖のワトソン・クリック[W・C]塩基対のG-C塩基対よりもA-T塩基対を安定化させることを見出したリン酸二水素型コリン型水和イオン液体(choline dhp)を用いて、本年度は、対象とする核酸構造を機能性核酸内に形成される三重鎖、四重鎖にまで拡張し、choline dhpが種々のDNA構造に及ぼす影響を分子レベルで解析した。その結果、二重鎖内のW・CのA-T塩基対及び三重鎖内のフーグスティーン [H] 塩基対がcholine dhp中で標準溶液(NaCl水溶液)よりも顕著に安定化され、この安定化は核酸構造形成時のエンタルピー変化に由来することがわかった(Sci. Rep., 4, 3593 (2014) [日刊工業新聞に掲載])。また、in silicoでの分子動力学的計算によって、このような安定化は二重鎖および三重鎖のグルーブ部位へのコリンイオンの結合によることがわかった(J. Phys. Chem. B., 118, 379(2014)[表紙に選定]など)。さらに、DNA四重鎖や非塩基対部位に分子環境が及ぼす影響についても解析し、核酸の水和状態の重要性を見出した(Angew. Chem. Int. Ed., 52, 13774 (2013) [中表紙に選定] など)。 本研究によって得られた種々の分子環境下における核酸構造の定量的知見を基に、choline dhp中で機能するHIV遺伝子を検出するDNAセンサーの構築を試みた。このDNAセンサーは、H塩基対の高い配列特異性を保持したままcholine dhp中で安定化されることを活用し、標的鎖共存下では二重鎖から三重鎖構造への構造スイッチするように設計した。その結果、既存のセンシングシステムより標的配列の選択性を10000倍向上させることに成功した(日本化学会第94春季年会, 2014年3月)。
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