2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村越 敬 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40241301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 諭 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (90400639)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | プラズモン / 単層カーボンナノチューブ / 表面増強ラマン / 金属ナノダイマー |
Research Abstract |
プラズモン増強電場と単層カーボンナノチューブ(SWNT)を組み合わせ、従来の微細加工技術では実現不可能なナノメートルサイズのセンシング素子を創製する。上記目的を達成するために、表面増強ラマン散乱活性な金属ナノダイマー構造と単一SWNTを組み合わせ、ナノ温度・変位センサーの基礎的概念の実証を試みた。センサー分子であるSWNTは、そのラマンスペクトルが光学異方性及び温度依存性を持つことで知られている。まずはじめに、照射するレーザー強度を変えることで金属ナノダイマー構造の温度を制御し、その構造に担持された単一SWNTの表面増強ラマン(SERS)スペクトルのピークシフト量変化と温度依存性について評価を行った。照射するレーザー強度を変化させるると、照射するレーザー強度に比例してグラフェン構造由来のGバンドのピーク値が低波数側にシフトするのが明らかとなった。この結果から、SWNTを用いたナノ金属構造の温度をモニタリングするナノ温度センサー実現に向けた基礎的動作原理に関する知見を得ることに成功した。つぎに、入射偏光に円偏光を用いた場合のGバンドスペクトルの応答性について検証を行った。金属ダイマー構造に円偏光が照射された際、ダイマーのギャップ部において旋光方位に依存した局所電場が形成される。そこで、SWNTを担持した金属ナノダイマーに対して右円偏光ならびに左円偏光を照射し、円偏光SERS測定を行った。その結果、各入射円偏光に対するSERSシグナル強度、Gバンドスペクトル形状変化が観察された。この結果から、単一SWNTの変位により、ギャップ内のSWNTに印加されている局所電場の偏光方位が変化、このときのSERSシグナル強度、Gバンドスペクトル形状変化を読み取ることで、SWNTの変位量を見積もれることを示唆する。以上、ナノ温度・変位センサーの基礎的動作原理に関する知見を得ることに成功した。
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