2012 Fiscal Year Research-status Report
有機薄膜トランジスタの界面ドープによるスピン物性探索
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24655163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤川 安仁 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70312642)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光電子顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 有機半導体 |
Research Abstract |
本研究課題を遂行していく上で必要な4探針STM装置に対する有機薄膜成長用真空漕の整備については、研究開始前に導入したものに対して本研究を推進するのに必要なアップグレードを施し、本研究計画に必要な数種の有機分子を取り扱うための準備を整えた。さらに、年度後半に導入した光電子顕微鏡の性能を、本プロジェクトを効率的に進めていく上で必要なレベルにアップグレードするための電子線制御装置を購入して、顕微鏡の整備を進め、FET構造を作製する基板となるシリコン酸化膜上に作製した電極構造について光電子顕微鏡観察を行う事に成功した。また、基板上にフタロシアニン分子を蒸着し、本デバイスを作製するために重要な脱離条件の検討を行って、デバイス作製の基礎技術の確立を行った。 また、トランジスタのチャネルを形成するペンタセンの極薄膜の低速電子・光電子顕微鏡観察を行い、その成長初期過程について詳細な検討を行った。その結果、初層の核形成密度より2層目の核形成密度が低くなる非常にユニークな現象が起こっており、2層目の結晶方位はは初層の結晶方位によって核形成時に決定されるものの、初層の粒界を越えて成長してしまうため、初層と2層目の間のエピタキシャル方位は必ずしも一致しない事などを見いだした。さらに薄膜デバイス特性を決定する重要な要素である局所仕事関数のマッピングを行い、2層目の領域における仕事関数が1層目のそれより大きくなるという現象を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に必要な光電子顕微鏡の整備は予定通り進み、デバイス構造の顕微像が得られるパフォーマンスを示している。また、トランジスタのチャネルを形成する有機薄膜構造の作成技術に関する基礎研究においても順調に成果が出ており、研究は概ね順調に進んでいると言える。このまま研究計画を推進して有機薄膜に対するスピンドープの実現を目指していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もin-situ でのFET 特性の測定を行い、かつ遷移金属フタロシアニン分子(MPc)を電極修飾分子に使用することにより、チャネル上に分配された分子のペンタセン薄膜に対するドープ効果を、FET 特性を測定することによって調べて行きたい。得られたFET 特性を純粋なペンタセンFET のものと比較する事により、界面に拡散したMPc分子の評価を行い、MPc の脱離を行うアニール条件の最適化を行う。その上でデバイスの磁化測定を行う事により磁性発現の探索を行う。 また、サブミクロンギャップ電極に対してMPc による化学修飾を行い、ペンタセンFETを作製してFET 特性の温度変化を測定し、近藤効果の検出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については、主として研究の遂行に必要な真空部品・その他消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)