2012 Fiscal Year Research-status Report
有機半導体のキャリア移動度異方性を測定する新規手法の開発
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24655164
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中山 健一 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20324808)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機半導体 / キャリア移動度 / キャリア濃度 |
Research Abstract |
本研究では、有機半導体薄膜の膜厚方向と膜面方向のキャリア移動度異方性を明らかにすることを目的とし、新しい測定手法の探索、そして異方性がデバイス特性に与える影響を議論する。本年度は、比較的新しい測定手法であるCharge Extraction by Linearly Increasing Voltage法 (CELIV法)を用いて、有機薄膜の縦方向移動度評価を行った。 新しく測定系を立ち上げ、最も標準的なポリマー半導体であるポリアルヘキシルチオフェン(P3HT)に対して測定を行ったところ、縦方向移動度として約1.2×10e-4 cm2/Vs、熱平衡キャリア濃度4×10e15 /cm3、という値を得ることができた。別途、既存の縦方向移動度測定手法であるSpace Charge Limited Current法(SCLC法)による評価を行い、その関係性について議論を行った。 通常CELIV法では、熱平衡キャリアまたは光照射による光生成キャリアに対してextractionを行う。これに対して我々は、非対称電極をもちいて、順バイアス(注入)から逆バイアスに連続的にスイープすることでCELIVシグナルを増強できることを見いだした。この、「Injected Dark CELIV法」とでも呼べる新しい手法によって、元々熱平衡キャリアがほとんど存在しない有機EL用のキャリア輸送材料、具体的には、トニフェニルアミン系のホール輸送材料であるNPDにおいて、Dark CELIV測定による移動度評価に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、新しい縦方向移動度測定手法であるCELIV法に着手し、有機半導体材料の縦方向キャリア移動度および熱平衡キャリア濃度を明らかにすることができた。さらに、キャリア注入によるCELIVシグナルの増強など、予期していなかった新たな発見もあった。また、次年度(平成25年度)に着手予定であった、縦方向移動度と横方向移動度の比較についても、SCLC法とFET法を用いて既に着手し、縦型有機トランジスタの性能との相関についても考察を行っている。一方で、狭ギャップ電極による水平方向の素子作製についてはマスクの設計段階にある。これらの状況から、トータルとしてはほぼ順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が用いることができる最高のフォトリソグラフィー技術を用いて、狭ギャップ電極を作製し、FET測定以外の方法で横方向移動度の評価を行うことに挑戦する。定常電流としてはSCLC、過渡電流としてはCELIV法を用いて、横方向移動度の算出を試みる。 また、今年度の研究成果により新たに発見した、注入キャリアに基づくDark CELIVによる移動度評価方法、解析手法を確立していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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