2013 Fiscal Year Annual Research Report
ブルー相の温度幅を拡大するC3対称キラルドーピング法の確立
Project/Area Number |
24655166
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岸川 圭希 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40241939)
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Keywords | 液晶 / ブルー相 / ネマチック相 / キラリティ / ドーパント |
Research Abstract |
ブルー相は、高速表示素子やレーザ発振の材料として期待されている液晶相の一つであり、等方液体とキラルネマチック相の間に現れるが温度域が狭いことが問題となっている。本研究では、温度域拡大のために、ブルー相を安定化するドーパントの分子構造を探求した。すでに、ベンゼン環にキラル基を複数導入したドーパントの研究成果については、液晶の国際的な学術誌に投稿し掲載が認められた(Liquid Crystals, 41(6), 839-849 (2014))。現在、さらに、下に示すブルー相を生ずるキラルドーパント(酒石酸イミド誘導体とDiels-Alder付加物)に関する研究成果について、2つの論文の投稿を準備している。 1)酒石酸イミド誘導体は、5CB(4-cyano-4'-pentylbiphenyl)などで、極めて大きな螺旋誘起力を示した。ブルー相の発現温度域の調査では、EBBA(4-butylanilidene-ethoxybenzene)に7mol%の酒石酸イミド誘導体を添加したときに、昇温で7K、降温で11Kのブルー相温度域を示した。Nのアルキル置換基の末端にOH基を導入すると、昇温で10Kのブルー相温度域になった。市販の棒状分子にドーパントを添加した例としては、我々の知る限り最も広い温度幅である。本研究で製作した反射すペクトル測定装置により、ブルー相の選択反射の測定することに成功し、ブルー相のIとIIの帰属や温度・キラリティと波長の関係を明らかにした。 2)アーチ状ユニットと棒状ユニットの両方を有するキラルドーパントの作成とブルー相の発現の調査を行った。この化合物はアントラセンとキラルなフマル酸誘導体をDiels-Alder(DA)反応させて合成した。このDA付加物誘導体は、極めて大きな螺旋誘起力を示した。特に、シアノ基を有する液晶化合物において、大きな螺旋誘起力を示すことが判明した。この化合物を極微量(2mol%)5CBに添加しただけで、安定なブルー相が発現した。
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Research Products
(14 results)