2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安達 千波矢 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30283245)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機熱電素子 / 導電性高分子 / P3HT / F4TCNQ |
Research Abstract |
有機熱電デバイスは、フレキシブル化による大面積や低コスト、さらには、材料としての高い安全性が期待される。しかしながらその熱電性能は、未だ不十分であり、これまで本研究では、高移動度が期待される有機FET用に開発された低分子蒸着薄膜について検討を進めてきた。低分子薄膜では、成膜条件のコントロールによって、1cm2/Vsに達する高い移動度を利用することで、数十μW/mK2に達するpower factor(PF)を得ることができた。しかしながら、真空蒸着法による成膜は、SAM剤等による下地層の制御や成膜条件の精密な制御が必要であり、フレキシブル大面積化の観点からは多くの課題があり、高分子材料のスピンコートやキャスト法などによる簡便な熱電素子化が期待されている。本研究では、poly(3-hexylthiophene)薄膜をホストに、アクセプターである 2,3,5,6-tetrafluoro-7,7,8,8-tetracyanoquinodimethaneをドーピングを行い、さらにAging処理条件の制御によって、低分子薄膜に匹敵する熱電性能(PF~30μW/mK2)を得ることに成功した。ドープ膜のXRD解析の結果、ドーピング後においても薄膜の高い結晶性が保持されており、このことが高い熱電性能の発現に繋がっていることが分かった。今後は、デバイスの高性能化を目指して、導電性高分子材料の広範な材料探索と成膜プロセスの最適化に取り組み、高性能な有機熱電デバイスの創製を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初は、有機低分子薄膜を用いた熱電素子の研究に取り組み、基板の制御や成膜条件の最適化によって、これまでの報告例の中で最も優れた熱電特性(数十μW/mK2に達するpower factor(PF))が得られた。さらに、本研究では、実用化の視点から高分子材料へ研究を進展させ、低分子材料に匹敵する熱電性能が得られ、実用化の可能性も見えてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで優れた熱電特性の発現はp型特性に限定されている。今後、n型特性を示す高分子熱電デバイスの開発に取り組み、pn複合型の熱電デバイスの創製を研究を進展させる。n型特性の発現には、酸素等の雰囲気環境に十分配慮する必要があり、素子の安定性や、耐環境制に優れたデバイスの構築にも取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に材料合成試薬や成膜に必要となる基板等の消耗品代に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)