2013 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖間πスタッキングに基づく自己組織化高分子の創製と有機薄膜太陽電池への応用
Project/Area Number |
24655183
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前田 壮志 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90507956)
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Keywords | 自己組織化 / 自己組織化高分子 / 有機電子材料・素子 / 機能性有機材料 / 染料・顔料 / 色素・色材 / 電気・磁気的機能 / 有機薄膜太陽電池 |
Research Abstract |
本課題では,高効率な有機薄膜太陽電池の実現に資する電子ドナー材料の開発を目指して,機能性色素をペンダント基として持つポリマーの合成と色素側鎖間相互作用による自己組織体の構築を目的とし,自己組織体形成が各種特性等へ及ぼす効果を明らかにすることを目指す. 本年度は昨年度に得られた知見をもとに,1)高い光吸収能と凝集性を示すスクアリリウム(SQ)色素を側鎖に持つポリマーの合成,2)色素側鎖間のπスタッキングに基づく凝集体の構築と特性解析を行った.1)について,昨年度に得られた分岐型SQ色素誘導体にオレフィン基を付与してモノマーとし,メタセシス重合により目的としたポリマーの合成に成功した.得られたポリマーは近赤外光から可視光領域の全域にかけて幅広い吸収を示し,高い光捕集能を有することが示された.また,この広帯域の吸収能は分岐構造に由来することが示唆された.2)について,得られたポリマーの凝集挙動を吸収スペクトルから観察したところ,同ポリマーは顕著な溶媒効果を示し,側鎖のSQ色素が凝集に関与していることが明らかとなった.これらの結果を元に有機薄膜太陽電池セルを試作・評価した.得られたセルの光電変換効率は低いものの,吸収特性を反映して近赤外―可視光領域にわたる広範囲で分光感度が見られた.このように,SQ色素を側鎖に有するポリマーはセルの光活性層中で電子ドナー材料として機能することが明らかとなった. 本課題では,目標とした機能性色素を側鎖に持つポリマーの合成と側鎖間相互作用による色素凝集体の形成に成功した.得られたポリマーは,既存の電子ドナー材料と根本的に異なる構造モチーフであるにも関わらず,有機薄膜太陽電池中で電子ドナー材料として機能することが明らかとなった.得られた成果は有機薄膜太陽電池をはじめとする有機エレクトロニクス用材料や高感度センシング材料など,様々な分野への応用が期待される.
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