2012 Fiscal Year Research-status Report
磁気的相互作用を利用するダイヤモンド型粒子集積体調製法の開発
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24655185
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80176924)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 磁気粒子 / 中空コアシェル構造 / 酸化チタン / マグネタイト / ヘマタイト / マグヘマイト |
Research Abstract |
目的の中空コアシェル構造磁気粒子の調製の準備として,まず磁気を有しない酸化チタンをコアとする中空コアシェル構造の粒子の調製を行った.市販アナタース結晶酸化チタンをグルコース水溶液に懸濁させて180~200℃の温度で水熱処理を行ったところ,酸化チタンに炭素を含むゲルが付着した粒子が生じた.これを真空化で加熱することにより炭素化し,さらにシランカップリング剤とテトラエトキシシランをつかって多孔性シリカ薄膜を付着させた.さらに空気中で焼成することにより,酸化チタンコアとシリカシェルのあいだの炭素膜を燃焼除去した.得られた粒子が中空コアシェル構造であることを透過型電子顕微鏡観察により明らかにした.また,これを光触媒として用い,L-リシンからのL-ピペコリン酸合成反応を行ったところ,予想どおり高収率,高選択的にL-ピペコリン酸を合成することができた.これは,シリカシェルが多孔質で基質の透過性が高いことと,コアとシェルのあいだに空隙が存在するために,酸化チタンの本来の光触媒機能が損なわれないことによるものと推察した.つぎに,磁気粒子であるマグネタイト(Fe3O4)粒子をコア原料として用い,上記の中空コアシェル構造粒子の調製法を用いて調製を試みたが,マグネタイト粒子が磁気的な相互作用のためか大きな二次粒子を形成しており,ひとつあるいは数個程度の粒子をコアとするものが得られなかった.このため,方針を変更して磁気を帯びていないヘマタイト(α-Fe2O3)をコアの原料とする中空コアシェル構造粒子の調製を試みた.その結果,比較的少数の酸化鉄粒子をコアとする粒子が得られたが,真空加熱処理段階でヘマタイトがマグヘマイトに変換されるため,その段階で凝集が起こることが明らかになった.ヘマタイトの光磁化現象について予備的検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中空コアシェル構造粒子調製法をほぼ確立するとともに,これを酸化鉄系微粒子をコアとする原料に適用できることを明らかにした.また,磁気を帯びない粒子をコアとする中空コアシェル構造粒子でも,後処理により磁化させる光磁化についても知見を得たので,これを利用すれば目的の粒子が調製可能であることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
単分散ヘマタイト粒子を調製し,中空コアシェル構造粒子の調製法のうちで炭素皮膜をつける前に薄層のシリカあるいはチタニア層を付着させ,そのうえに炭素皮膜を付着させる工程に変更して磁気をもたないヘマタイト粒子をコアとする中空コアシェル構造粒子を調製する.さらに,これを還元剤存在下における光反応により磁化させて目的粒子を調製する.さらにこれをつかって異方性集合構造粒子を調製する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に生じた未使用額については,2013年3月に購入し納品となったオイル回転真空ポンプ,自動乳鉢アダプターメノウ乳鉢,同メノウ乳棒,ホットプレート,熱媒体金属ビーズほか5点の消耗品の支払いに充てる.
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Research Products
(2 results)