2012 Fiscal Year Research-status Report
還元性高速焼結法を駆使した透明な欠陥導入セラミックスの創製
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24655186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 暁彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20451635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 透明セラミックス / 蛍石型結晶構造 / イオン伝導体 / パイロクロア / 放電プラズマ焼結 |
Research Abstract |
平成24年度は、Lu2Ti2O7およびLu3NbO7について、透明焼結体の合成プロセスを確立した。放電プラズマ焼結装置を用いて、Lu2O3粉末とTiO2およびNb2O5粉末を焼結した。合成した試料の結晶相はX線回折装置を用いて評価し、光学特性は紫外可視近赤外分光光度計を用いて評価した。印加圧力、焼結温度、昇温速度、保持時間といった焼結条件の最適化を行った。また、合成した試料の微細構造を走査型電子顕微鏡 (SEM) や透過型電子顕微鏡 (TEM) を用いてより詳細に評価することで、微細構造が光学的特性に与える影響について明らかにした。 Lu3NbO7の結晶構造は、立方晶の欠陥蛍石型構造 (Fm-3m, a = 0.518 nm) で指数付けることが出来た。Lu2O3とNb2O5粉末を予め固相反応させることにより、Lu3NbO3粉末を得た。得られたLu3NbO7粉末を、放電プラズマ焼結装置を用いて焼結温度1723 K、印加圧力100 MPaで焼結し、Lu3NbO7焼結体を得た。焼結密度をアルキメデス法により測定したところ、相対密度はほぼ100%であった。得られた焼結体の平均粒径は0.77 μmであった。Lu3NbO7焼結体の透過率は、波長550 nmで68%に達し、透明な焼結体が得られた。Lu3NbO7焼結体のTEM観察を行ったところ、電子回折像像には、サテライトスポットが観察され、欠陥蛍石構造中の酸素欠損の規則構造を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lu2Ti2O7、Lu3NbO7などのLu系複酸化物について、放電プラズマ焼結法を用いて焼結体を作製し、透明セラミックスの合成に成功した。Lu3NbO7透明セラミックスの結晶構造は、立方晶の欠陥蛍石型構造で指数付けることが出来たが、一方、Lu3NbO7透明セラミックスのTEM観察を行ったところ、欠陥蛍石構造中における酸素欠損の規則構造を持つことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で確立した本手法を用いて透明焼結体を合成し、そこに酸素欠陥を導入制御することで、酸素欠損が規則―不規則構造転移やイオン・混合伝導特性に与える影響を検証する。還元性雰囲気での焼結中に導入される酸素欠損量は、焼結条件や背圧、対象材料によっても異なることが予想されるため、実験してから初めてわかることも多いが、現時点では二通りの方法を検討している。一つは、焼結条件を制御することで、還元性焼結雰囲気中を利用してin-situ で適量の酸素欠損を入れる方法であり、もう一つは、焼結中に十分量の酸素欠損量を導入した後に、後熱処理を低酸素分圧・低温で行い導入する方法である。結晶相はX線回折図形により同定し、伝導特性は複素インピーダンスアナライザを用いて評価する。透光性、結晶構造、イオン伝導の三つの物性を制御することで、透明性とイオン伝導体性を併せ持つ複合機能セラミックスを創製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)