2012 Fiscal Year Research-status Report
ドーパント前駆体の分子デザインによるアップコンバージョン発光の超高輝度化
Project/Area Number |
24655189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
成毛 治朗 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (40237623)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
【目的】本研究は、長波長光を短波長光に変換するアップコンバージョン蛍光体の実用化のため、固体内の希土類ドーパント(ドナー/アクセプター)の分散を最適に制御するという、全く新しい発想に基づいて前駆体の分子デザインを行い、発光輝度を飛躍的に向上させることを目的としている。 【23年度の研究計画】本年度本年度は、これまでの希土類6核クラスターの熱分解により生成したY2O3:Er,Yb蛍光体において、ドナー(Yb)/アクセプター(Er)のドメインを形成するという仮説を実験的に検証する。一方、6核クラスター調製の再現性に不十分な点があるため、調製法の再検討するとともに、Er,Ybの最適なドープ濃度を調べるため、発光強度と発光量子効率のマッピングを行った。 【結果】現在、あいちシンクロトロン光センターでのXAFS測定による検証に向け試料の準備を進めている。また、6核クラスター合成時の副生成物がYb2(OH)5NO3・2H2Oであることが判明し、反応収率の向上に向け調製法を再検討している。Er,Yb濃度の最適化の結果、緑色発光効率はEr:1.25%,Yb:2.5%を中心とする極めて限定された濃度で最大を示したのに対し、赤色発光効率はEr:0.5~8%,Yb:1~8%の広範囲で比較的大きかった。このことは両発光が異なる励起過程で発光していることを示唆する。また、量子効率の最大値は緑色発光で約1.3%、赤色発光で約4.5%と見積もられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比してドーパント分布の実験的確証が未達成であるが、実験は1-2か月以内に終了する予定で、解析も含め25年度前半までに達成される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度では発光量子効率の測定装置がほぼ完成したので、25年度は励起光のエネルギー密度を決定し、励起光強度と発光量子効率の相関を正確に求める。一方、XAFS測定の解析から、ErとYbの分散性を求め、他の調製法の試料と比較することで、高輝度・高効率のための指針とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで用いてきた希土類6核クラスターは、重希土類およびイットリウム(Y)では調製が容易であるが、軽~中希土類では収率が低く、母体としてよく用いられるLa2O3やGd2O3には不向きである。また水溶液中で不安定なため、混合や熱分解には溶解度の低いDMF溶媒を用いる必要がある。また6核が最適な核数とは限らない。 そこで、6個以上の希土類をもつ多核クラスターを網羅的に調べ、より安定で溶解度が高く、高輝度が得られる前駆体の探索と最適な調製条件を特定する。 溶媒のリサイクル性を向上させるために都合の良い有機溶媒に可溶なクラスターを検討する。有機溶媒の回収には申請備品の溶媒回収ユニットを使用する。
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Research Products
(12 results)