2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24655198
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中戸 晃之 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10237315)
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Keywords | 無機ナノシート / コロイド液晶 / 電場印加 / 脱塩処理 / 流動制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、無機層状結晶を剥離させたナノシートのコロイドが形成する液晶を、生体膜類似の流動性膜として機能させることである。これを実現するためには、コロイド分散したナノシートの液晶に対し、電場を印加してナノシートをコロイド中にピン止めし、さらにナノシートの配列によって膜状の集合構造を形成させる必要がある。昨年までの検討で、電場印加により、ナノシートの流下が抑制される可能性が見出された。本年は、コロイドの精製条件を探索し、ナノシートのピン止めを達成した。 まず、精製(脱塩処理)条件の異なる種々のナノシート液晶を調製し、500 V/cm、50 kHzの交流電場を重力と垂直に印加して、ナノシートの流下がどの程度抑えられるかを調べた。その結果、精製の程度が適度、つまり十分に精製してあるが精製しすぎではない液晶試料において、ナノシートが流下しなくなることがわかった。このときの塩濃度を溶液の導電率から求めることを試みたが、信頼できる値を得ることはできなかった。 次に、ナノシートがピン止めされる液晶と流下する液晶の組織構造を、同一のナノシート濃度の試料で比較した。その結果、ナノシートの集合による液晶ドメインの形成が、ピン止めされる液晶においてより抑制されることがわかった。ドメイン形成後の液晶の組織構造を偏光顕微鏡で観察したところ、ピン止めされる試料では、ナノシートが低秩序で配向した液滴様ドメインが形成されていた。これらの結果より、適度な脱塩処理を施したナノシート液晶中では、ナノシートの弱い凝集が起こり、これによって液晶ドメインの局所的な粘性が高まって、ナノシートをピン止めする機構を推定した。 以上より、液晶中のナノシートのピン止めによって、生体膜とは異なる構造ではあるが、ナノシートが弱く凝集した新規なナノシート液晶の組織構造の形成に成功した。
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Research Products
(4 results)