2013 Fiscal Year Research-status Report
モノレイヤーナノドット:究極に薄く小さい無機ナノ材料の溶液合成と機能開拓
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24655199
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
緒明 佑哉 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90548405)
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Keywords | ナノ材料 / モノレイヤー / ナノシート / 量子ドット / モノレイヤーナノドット / 表面修飾 / 疎水化 / インターカレーション |
Research Abstract |
本研究は、究極に小さく薄いナノ材料であるモノレイヤー(単層)ナノドットの作製を目指すものである。1年度目は、層状化合物のナノ結晶を作製し、それを水系の溶剤に分散させてはく離を行うことでモノレイヤーナノドットの作製を行った。次の目標として、より安定的に大気中で取り出して扱うことや有機機能分子との複合化を目指して、非極性有機溶剤に分散するようなモノレイヤーナノドットの作製を目指した。そこで、まずは非極性有機溶剤に分散可能なモノレイヤーを作製する方法論を確立することを2年度目の目標とした。これまでにも様々な化合物においてモノレイヤー構造が作成されていたが、いずれも水系や極性有機溶剤に分散するものであった。非極性有機溶剤に分散しうるモノレイヤーを得るための新たな方法論が必要である。そこで次のようなアプローチを提案し、実際に非極性有機溶媒に分散可能なモノレイヤーの作製を行った。層状構造を有するチタン酸やマンガン酸の層内に長鎖アルキル基を有する分子をインターカレーションし、複合体を作製した。ここで得られた複合体を、非極性有機溶剤中に分散させることでアルキル鎖と有機溶剤との疎水性相互作用によってはく離できないかを試みた。その結果、アルキル鎖を表面に修飾した遷移金属酸化物モノレイヤーの生成を原子間力顕微鏡によって確認することができた。このとき、アルキル鎖の長さを適当な範囲で変化させた場合でも、非極性有機溶剤に分散可能なモノレイヤーを得ることができた。2年度目は横幅がマイクロメートルサイズの層状化合物を用いて作製を行ったが、3年度目は横幅をナノメートルサイズまで減少させた層状化合物を用いることで、非極性有機媒質中に分散したモノレイヤーナノドットを得る。これにより、量子サイズ効果と高い比表面積を併せ持つことから優れた触媒・光触媒能の発現が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果として、実際に予定通り非極性有機溶剤に分散可能なモノレイヤーを得ることができた。実績の欄にあるように、いくつかの学会において発表を行い、査読付き論文へ投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度と2年度目の研究は計画通り進んでいるため、予定通り3年度目の研究を行うことができる。実際に、横幅サイズを制御した層状化合物のナノ結晶を用いた実験を行い、これらをはく離させることで非極性有機溶剤中に分散したモノレイヤーナノドットを得ることを目指す。また、これらの特性評価を行う予備的な実験も進んでおり、生成した材料の機能開拓もスムーズに進めることができると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年度目の研究において合成と分析が予想以上に容易に進行したため、条件検討による試行を繰り返す予定であった分の予算が未使用となった。具体的には、層状構造を有するチタン酸やマンガン酸の層内に長鎖アルキル基を有する分子をインターカレーション、非極性有機溶剤中に分散させることでアルキル鎖と有機溶剤との疎水性相互作用によってはく離が予想以上に容易に進行した。また、生成物のアルキル鎖を表面に修飾した遷移金属酸化物モノレイヤーの生成を原子間力顕微鏡による観察も予想以上に容易であった。このため、試薬類や分析装置用の消耗品の支出が少なくなった。 一方、予備実験により、ルキル鎖を表面に修飾した遷移金属酸化物モノレイヤーが特異なアルコールの酸化触媒能を示すことが明らかとなった。よって、3年度目に当初予定していなかったこの触媒活性の評価を行う。そのために必要な試薬、反応容器、分析装置の消耗品を購入するために、未使用額を充当する計画である。
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