2012 Fiscal Year Research-status Report
紡織によって大面積化が可能な繊維型有機薄膜太陽電池の開発
Project/Area Number |
24655205
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 光信 金沢大学, 物質化学系, 教授 (00135047)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 貴之 金沢大学, 物質化学系, 助教 (80464048)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 太陽電池 / 再生可能エネルギー / デバイス設計・製造プロセス |
Research Abstract |
繊維型太陽電池では、芯になる電極から筒状に電池部材を製膜することから、平面基板で一般的に使用されていたITO基板を窓電極として使用できない。したがって、有機薄膜太陽電池では、裏面に使用されていた金属電極からの光入射が必須である。このような背景を元に、繊維型太陽電池のプロセス開発に向けたベース技術を考えた場合、励起光不要の電子捕集層と光透過性の正孔捕集層が部材要件として挙げられる。本研究では、まず平板型素子を用いて、(A)電子捕集層のUV光が素子性能に及ぼす影響、(B)両面受光素子による裏面入射時における光電変換特性について評価した。 亜鉛アセチルアセトナートを用いた新規ZnO前駆体溶液を調製し、ゾルゲル法により電子捕集層であるZnO薄膜を製膜した。この上に、PCBM:P3HT有機発電層、PEDOT:PSS正孔捕集層をスピンコート法により製膜した。裏面の正孔捕集電極としてAu電極を、ベタあるいはスリット状に真空蒸着を行い、ITO/ZnO/PCBM:P3HT/PEDOT:PSS/Au型素子を作製した。 加熱温度を変えてZnO膜を作製し、このZnOを電子捕集層に用いた素子について、白色光とUVカット光照射における光電変換特性を評価した。白色光を照射した場合、いずれの温度でZnOを加熱してもPCE約3.2%の特性が得られた。一方、UVカット光を照射した場合、450℃で加熱した場合はPCEの著しい低下が観察されたものの、250℃で加熱した場合は良好な光電変換特性を示すことが分かった。また、金電極をスリット構造にすることで、Au側からの光照射においても発電可能な両面受光素子の開発に成功した。このように発電層上に被覆したPEDOT:PSSは、正孔捕集層としての役割の他に導電性を有するため、繊維素子に光が当たらない影の部分に集電極を形成させておけば、太陽電池として十分機能することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気中製造かつ高耐久性が期待できる逆構造の繊維型太陽電池構築のための最重要な要素技術の一つである、暗闇でも駆動する電子捕集層ZnO薄膜を新たに見出すことに成功した。これを受けて、達成度②と自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
一般な繊維は、絶縁体である有機物から構成されている。したがって、初年度に開発した重要な要素技術に加えて、絶縁体上に有機薄膜太陽電池を構築するための要素技術を積み上げる必要がある。すなわち、プラスチックフィルムや紙や布などの絶縁体平面上に有機薄膜太陽電池を構築する基盤技術を確立する。この技術が固まったところで、繊維上への太陽電池の作製を試みる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繊維型太陽電池作製のために、以下に示す消耗品の購入のための予算を計上する。 ・有機薄膜太陽電池作製用材料(一式)1,000千円 ・ガラス器具(一式)300千円 ・有機溶媒(一式) 300千円 また、学会参加のための出張旅費として300千円を計上する。
|