2013 Fiscal Year Annual Research Report
紡織によって大面積化が可能な繊維型有機薄膜太陽電池の開発
Project/Area Number |
24655205
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 光信 金沢大学, 物質化学系, 教授 (00135047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 貴之 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (80464048)
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 繊維型 |
Research Abstract |
本研究では、繊維型素子への応用を見据え、スリット構造を有する両面受光型の有機薄膜太陽電池の電極間の距離およびPEDOT:PSS正孔捕集層の導電率の検討を行った。PEDOT:PSSは抵抗の異なる3種類を用いた。高抵抗のPEDOT:PSS(1.4x10^8 ohm sq-1)を用いた場合には、片面受光型素子ではPCEは2.69%であったが、両面受光型素子にITO側から照射したときでは1.54%とかなり小さくなった。これは、大きなシート抵抗によって有機発電層からPEDOT:PSSに補足された正孔の横移動が起こりにくく、Auスリット電極のAu部分に正孔が到達しにくいためである。一方、シート抵抗が1.5×10^5 ohm sq-1と比較的小さなPEDOT:PSSを用いた場合には、片面受光型素子のPCEが2.67%であったのに対して両面受光型素子では2.29%であった。さらにシート抵抗が4.5×10^4 ohm sq-1のPEDOT:PSSを用いた場合、片面受光型素子のPCEが2.68%であったのに対して、両面受光型素子では2.59%であった。これらの結果は、ITO透明電極とAuスリット電極からなる両面受光型素子では、有機発電層で生じた正孔がPEDOT:PSSに補足された後、横方向に動いてAu電極に捕集されることを示唆している。また、低抵抗PEDOT:PSSを用いた素子にAuスリット電極側から光照射したとき、PCEは2.64%であり、ITO側照射のときに匹敵する値を示し、裏面から照射しても良好なPCEが得られる素子の開発に成功した。さらに、金電極の間隔を調節することにより開口率の最大値を検討した結果、開口率約80%で最高出力を示す素子開発に成功した。これらの結果は、繊維型素子における光照射側の電極構造をデザインする上で基礎的知見を与えるものである。
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