2014 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミルポリーγーグルタミン酸の効率合成と環境応用への挑戦
Project/Area Number |
24655209
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
芦内 誠 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (20271091)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境材料 / 環境技術 / 環境機能 / バイオポリアミド / 化学改質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度研究において、ドーパミルPGA(dmPGA)合成の成否と効率は、前駆体であるPGAICの物性に支配されるとの発見を受け、かかる構造的要因をX線広角及び小角散乱分析を用いて探ったところ、本前駆体に特有の微細ラメラ構造に変化があることを見いだした。実際、均質なラメラ構造を持つ前駆体で高いdmPGA合成効率が得られた。次いで、かかるラメラ構造の均質性を高める化合物を調査し、PGAICの合成原料であるハロヘキサデカンを見いだした。一方、その構造類縁物であるヘキサデカン及びヘキサデカノールが逆に均質性を下げる方向に働き、dmPGAの合成を著しく妨げることまで確認した。以上より、dmPGA合成の効率化に繋がる前駆体合成法の開発に成功したとの結論に達した。 dmPGAは唯一DMSO溶媒に溶解するが、溶媒交換等を経て再びその機能を回復することから優れた自己組織化能を備えたソフトマターと見なすことができる。また、活性炭をはじめ、化成プラスチック、ステンレス、セラミック等、ほぼ材質を選ばず、その表面に付着するため、簡便迅速な機能性表面の創出が可能になった。この能力は、基礎ポリマーであるPGAから受け継いだものと考えられ、前駆体として用いたPGAICにも同様のコーティング機能を確認している。有害金属の封じ込め材料を設計する上で応用性の高い物性と判断した。前年に引き続き、dmPGAの金属吸着特性を精査した。今回は、多検体分析に適うPAR法を利用した。結果、三価金属イオンに加え、PGAをはじめとする既知のバイオポリマーでは困難と思われていた二価金属イオンに対する飛躍的な吸着性の向上が認められた(100倍以上の親和性)。本研究を通じ、dmPGAには多様な放射性金属種の同時除染・封じ込めに加え、レアメタル回収への利用まで期待できることが示された。
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