2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655212
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 秀司 大阪工業大学, 工学部, 講師 (70434785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 裕史 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (10466790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コロイド結晶 / 高分子微粒子 / 応力変形 / 数値解析 / 2次元 |
Research Abstract |
粒子径がナノからミクロンメートルサイズの単分散微粒子を周期配列させた構造体は、コロイド結晶と呼ばれる。本研究では、外部応力が、コロイド結晶を形成する粒子自身の形状および粒子の配列構造に与える影響を、実験的および理論的に明らかにすることを目的としている。 平成24年度は、まず、モデルサンプルとして、真球形状を有する高分子微粒子の2次元配列体を熱可塑性高分子であるポリビニルアルコールマトリックス中に固定化したコロイド結晶の作製を試みた。その結果、分散重合法により光学顕微鏡による形状観察が可能なミクロンメートルサイズの高分子微粒子の合成に成功し、さらに気液界面への粒子の吸着現象および界面における自己組織化現象を利用することで、センチメートルサイズの構造が固定化された2次元コロイド結晶フィルムの作製に成功した。生成フィルムの構造を光学顕微鏡、電子顕微鏡を使用し評価した結果、多結晶のコロイド粒子配列体が得られ、その結晶ドメインは数平均で約40個の高分子微粒子から形成されていることを明らかにした。 次いで、2次元コロイド結晶フィルムを引張試験機を用いて変形させることで、外部応力がコロイド粒子の形状変化に与える影響について検討を行った。ポリスチレン粒子を使用した系において、ポリスチレンのガラス転移温度以下で応力を加えたところ、粒子形状はほとんど変形せず、粒子間距離が広がると共に粒子の配列構造が崩壊する様子が確認できた。一方、ガラス転移温度以上の120度で応力を加えたところ、粒子配列構造は保たれたまま、粒子が主に3つの形態(ブロック形態、釣りの浮き形態、さやえんどう形態)に変形することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において、平成24年度は下記の2点を課題として掲げていた。 【課題1】コロイド結晶の作製、および構造・物性評価:2次元コロイド結晶フィルムを合成するための条件の最適化を目的とし、2次元コロイド結晶フィルムの構造に影響を与える作製条件の因子と、それによって変化する構造との相関について系統的に検討を行う。 (達成度)気液界面におけるコロイド結晶の作製条件(温度、湿度、粒子展開方法)を精査することで、高効率で2次元コロイド結晶フィルムの合成が可能な条件を見出した。さらに、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡を用いて、ナノメートルからミクロンメートルの範囲でコロイド結晶のモルフォロジィ評価を行い、コロイド結晶作成条件と粒子の配列状態との相関関係を明らかにした。 【課題2】外部応力がコロイド結晶の構造・物性に与える影響の実験的検討:2次元コロイド結晶フィルムに加えられる外力が、コロイド結晶の構造に与える影響を考察する。具体的には、定温型引張試験機を使用し、コロイド結晶に応力を加える際の条件(温度、引張速度)が、粒子規則配列構造、およびコロイド結晶を形成する粒子自身の形状に与える影響を明らかにする。 (達成度)コロイド結晶の変形について、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡を用いてナノメートルからミクロンメートルの範囲でモルフォロジィ評価を行い、引張温度・速度と粒子の配列構造・粒子の形状変化の相関関係を明らかにした。 年度内に、課題2点の内容について良好に実験を遂行することができ、また実験結果の解析も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
外部応力によって引き起こされるコロイド結晶材料の構造、物性変化は、コロイド粒子、コロイド結晶を固定化しているマトリックス材料の組成、および応力の種類(引っ張り、摩擦、衝撃等)、大きさ、向き等の複数のパラメーターに影響を受ける。今後、多様な機能性コロイド結晶材料の実用化研究が発展する中で、理論解析により、コロイド結晶の応力変形による構造、物性変化を予測できるようにすることは意義がある。平成25年度は、コロイド結晶中の粒子間、粒子-マトリックス間の様々な相互作用を理論モデルとして表し、非平衡な変形構造を維持するための制御因子を明らかにすることで、コロイド結晶の変形メカニズムを解明する。 平成24年度、平成25年度で取得する基礎的データを有機的に繋げることで、真に使えるコロイド結晶の材料開発の実現に向けた足掛かりとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
■ 消耗品費:応力変形後の構造、物性評価に適したコロイド結晶材料サンプルを合成する必要があり、この目的のため材料費を計上する。 ■ 旅費: 国内学会(高分子学会、日本化学会 コロイドおよび界面化学部会)での成果発表、情報収集、および共同研究者との研究打ち合わせを実施するために国内旅費を計上する。 ■ 謝金等:英文による論文作成のための英文校閲費を計上する。また年に1回、関連分野の専門の研究者に大阪工業大学に来てもらい、講演および研究のディスカッションを行っていただく予定であり、謝金を計上する。 ■ その他:資料整理に必要な印刷費、実験データ・試料を送付するための通信費を計上する。 当初購入を計画していた消耗品について、予定より少量で実験が可能であったため、231,820円の繰越が生じた。次年度、繰越分を有効活用し、コロイド結晶材料の変形メカニズムの数値解析を強力に推進する。
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[Journal Article] pH-Responsive flocculation and dispersion behavior of Janus particles in water2012
Author(s)
M. Ito, R. Enomoto, K. Osawa, Y. Daiko, T. Yazawa, S. Fujii, Y. Yokoyama, Y. Miyanari, Y. Nakamura, A. Nakao, Y. Iwasaki, S. Yusa
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Journal Title
Polymer Journal
Volume: 44
Pages: 181-188
DOI
Peer Reviewed
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