2013 Fiscal Year Annual Research Report
水-氷(融液ー結晶)界面の分子レベル直接観察:超高感度位相差顕微鏡の開発
Project/Area Number |
24656001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐崎 元 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60261509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20113623)
長嶋 剣 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60436079)
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Keywords | 水-氷界面 / 融液-結晶界面 / 分子レベル直接観察 / 超高感度位相差顕微鏡 |
Research Abstract |
気相や溶液からの結晶成長と異なり,融液からの結晶成長は桁違いに速いため,結晶と融液の界面を分子レベルでその場観察することに成功した例はまだない.氷と水の界面を分子レベルでその場観察するために,高速度でその場観察が可能な位相差顕微鏡を,下記の改良によって超高感度化することを試みた. 平成24年度に設計して平成25年3月29日に納品された特注位相差対物レンズ(10倍)に対応する,幅が通常の1/4と極めて細いリングスリットを作製した.そして,特注位相差対物レンズと特別作製リングスリットを現有の光学顕微鏡に取り付けて,直接観察実験を行った. まず,生物系の標準試料である「ヒーラ細胞」を観察した.その結果,今回の改良によって,位相差コントラストが極めて顕著に向上することを確認できた.通常の位相差光学系ではヒーラ細胞の核がわずかに確認できるだけであるが,改良した光学系では核に加えて細胞質と細胞の外形を明瞭に可視化することができた. 次に,過冷却水中で成長する氷結晶の表面を観察した.その結果,氷結晶の場合にも確かに位相差コントラストが向上することを確認できた.しかし氷結晶の場合には,コントラストの向上は約1.5倍にとどまった.通常の位相差顕微鏡の場合には,輪対NDフィルターの減光率は細胞観察用に最適化されている.そのため氷結晶の場合にも,減光率をさらに観察系に合わせて調整することで,ヒーラ細胞の場合と同様に位相差コントラストを極めて顕著に向上させることができる可能性がある.本研究では氷結晶表面の分子レベル直接観察にはいたらなかったが,将来,LCOS(液晶デバイス)等を用いて減光率を自在に調整することで,位相差コントラストを顕著に向上できることを原理的に確認できたと考えている.
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