2013 Fiscal Year Annual Research Report
半導体に添加した異種の遷移元素間の相互作用の解明と新規磁性半導体の創出
Project/Area Number |
24656005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 眞司 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40221949)
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Keywords | スピントロニクス / 磁性半導体 / 4元系混晶 / 反強磁性 |
Research Abstract |
本研究課題では、希薄磁性半導体(DMS)のうち半導体に2種の遷移元素を添加した4元系DMSの磁性と遷移元素間の相互作用を解明し、新たな機能発現と応用の可能性を拓くことを目的として研究を行った。具体的には、II-VI族半導体に3d遷移元素Mn, Cr, Feの中から2種類を選んで添加した4元混晶を作製し、磁化・磁気光学測定により異種の遷移元素間にどのような相互作用がはたらくか、またそれが母体半導体のバンドギャップ中の3d電子準位の位置と電子数にどのように依存するかを調べ、相互作用の起源となるメカニズムを解明することを目指した。 平成25年度は、前年度に引き続き、CdTeにMn, Crを同時に添加した(Cd,Mn,Cr)Teの研究を行った。(Cd,Mn,Cr)Teの磁化特性を3元系DMSの(Cd,Mn)Te, (Cd,Cr)Teの磁化特性と詳細に比較・検討した。その結果、(Cd,Mn,Cr)Teで観測される強磁性はMnおよびCrを同組成含む(Cd,Mn)Teおよび(Cd,Cr)Teの磁化の足し合わせでは再現できず、MnとCr間の相互作用が本質的な役割を果たすことが明らかにされた。また、ZnTeにCr, Feを同時に添加した(Zn,Cr,Fe)Teの研究に着手した。Cr組成一定で、Fe組成を変化させた一連の薄膜試料を分子線エピタキシー(MBE)により成長し、磁化特性を調べた。その結果、Fe組成の増加に伴い、飽和磁化は減少する一方、保磁力は増加するという傾向が明らかとなり、CrとFeの磁気モーメント間に反強磁性相互作用がはたらくという理論予測と定性的に一致する実験結果が示された。
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Research Products
(23 results)