2013 Fiscal Year Annual Research Report
万能性基幹(PS)分子で構成された再生型エレクトロニクスの創生
Project/Area Number |
24656009
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青木 伸之 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (60312930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 勇一 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 名誉教授 (60111366)
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Keywords | フラーレン / C60 / 万能性基幹分子 / 光重合 / 光渦 / 電気伝導 / 金属/半導体 / グリーンエレクトロニクス |
Research Abstract |
本研究では,フラーレン分子を「万能性基幹分子:PS分子」として利用する,再生型エレクトロニクスの構築を目的として研究を行った。本研究の特徴は,一切のドーピングをすることなく,フラーレン分子間の結合状態の違いにだけで「金属」「半導体」「絶縁体」の機能を創発させる点にある。本研究の特徴は,トポロジカル光波である光渦レーザー光を用いることで,従来のC60分子の光重合とは異なる様式で光重合が生じると考えられ,その重合過程を解明することを目的として研究を進めてきた。 C60分子に可視域(例えば緑色:波長532 nm)の光を当てると,C60分子が励起されて分子間に[2+2]環化付加反応が生じ,直鎖状の重合体が形成されるが,その結合は2量体~3量体程度の結合までで止まってしまう。また,そのときの電気伝導特性は半導体的であることが知られている。一方で,我々の研究によれば,緑色の光渦レーザー光の照射により形成された重合体では,ゲート電圧の印加に対して電流量が変化しない金属的な特性を示す重合体が形成されることが示された。そのような伝導特性が観測される条件としては,真空中でC60薄膜上に10 MJ/cm2以上の光を照射し,かつその照射した領域に対して照射後に金属電極を取り付けることが必要であることが示された。さらに,照射後の原子間力顕微鏡による観察により,照射領域内のC60薄膜表面では,C60薄膜のグレインの上を数nm程度の厚さを持つ付加的な膜が覆っていることが観察された。これらの結果から,光渦照射によって形成される金属的な特性を示す重合体は,C60薄膜表面に選択的に形成される重合膜に起因していると考えられる。また,光渦照射後の結晶構造に関しては,従来の一次元鎖状に加え,二次元的な結晶構造を示す結果がラマン散乱分光から得られてきており,現在引き続き調査をしている。
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