2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造による人工フラストレート液晶相の誘発と機能応用
Project/Area Number |
24656015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 浩之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80550045)
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Keywords | 液晶 / フラストレーション / 電気光学カー効果 |
Research Abstract |
本研究では、次世代屈折率変調材料として期待されるフラストレート液晶相の電気光学特性を改善することを目的とし、フラストレート液晶相が有するディスクリネーション(配向欠陥)の格子構造を模倣した三次元ナノ構造を作製することで、フラストレート相を人工的に安定化することを目指した。 本研究ではコレステリックブルー相(ブルー相)と呼ばれるフラストレート相に着目した。ブルー相は三次元的な螺旋周期を有しており、定常状態ではI4132、P4232、およびアモルファス構造の3つの副次相が存在する。立方対称の2つの副次相は螺旋構造に起因してブラッグ反射や旋光性を示すが、流動性を有するが故に電界にも応答することができ、電気光学カー効果を示す。ブルー相におけるカー係数は格子周期と正の相関を示すことから、ナノ構造により格子周期を人工的に伸長できれば、カー係数を増大することができると考えた。 本研究の開始当初は二光子励起光描画法を用いてブルー相の対称性を模倣したナノ構造の作製した。これより一定の成果を得たが、微細な構造をより簡便に作製するため、新たなナノ構造の作製手法を提案した。すなわち、ブルー相に光重合性モノマーを添加し、電界印加状態で光重合を行うことを提案した。ブルー相は電界印加により格子が伸長し、斜方晶や正方晶などの結晶系へ転移するが、電界除去時にはそれらの構造は保持されない。提案した方法により電界印加時の対称性を模倣したナノ構造を形成することで、斜方晶および正方晶の新規なフラストレート液晶相を人工的に安定化することに成功した。また、これらの試料の特性を調べた結果、カー係数は印加電界方向に垂直な方向な格子定数に依存することが明らかとなった。このことから、ブルー相の電気光学特性を改善する指針を得ることに成功した。
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Research Products
(6 results)