2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656017
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 液晶電気対流 / パターン形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
透明電極付きBSO結晶で液晶セルを作成した。これにラビングを施し,液晶の上下で同じ方向に配向する「平行配向セル」と上下で配向方向が90°捻れた「捻れ配向セル」を作成した。局所電気対流を生じさせるためにセルに上と下から光を照射できる落射型顕微鏡を使用した。落射投光管を取り除き,そこにレンズを入れて,対物レンズと共焦点の位置にスリットを入れた。このスリットの形状が液晶セルに映され,スリットの形の電気対流が誘起されたので,実験系を構築できた。 電気対流が発生する閾値電圧の,照射光強度,電場の周波数依存性を2種類のセルについて調べた。レーザー強度が50mW以下までは,閾値電圧は指数関数的に減少し,50mW以上になると閾値電圧はほぼ一定になる。従って,この実験の用途では100mWのレーザーで十分であることがわかった。平行配向セルの方が捻れ配向セルよりも閾値電圧が高くなった。また,印加周波数が高いほど閾値電圧は高くなった。 捻れセルでは対流ロールの軸方向の流れが確認できた。隣り合う流れの間で向きが異なる。そこで捻れセルで2つの局所対流を作成し,2つの対流の間に回転流を作ることを試みた。2つの局所対流のロール軸をロール幅程度にずらし,対流の間に渦を作成する事を試みた。過渡的には渦が生じることはあったが,定常的な渦は発生させることはできなかった。 本研究によって,局所的な液晶電気対流を作成する技術が得られたので,この手法を使って局所対流の首振り運動の研究が行えるようになった。目標としていた局所対流の振動の外場同期制御および複数の局所対流間の同期機構の解明までには至らなかったが,これを行う実験的困難は全て克服できた。また,捻れセルのロール軸流れが外部に取り出せることも明らかにできた。局所対流の大きさ,形を様々に変えれば,この流れを巧妙に制御できるようになることがわかった。
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