2013 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド型液晶性無機ナノ粒子を用いた新規な複合系ER流体の開発
Project/Area Number |
24656020
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
花崎 知則 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80278217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 光佑 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30469192)
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Keywords | 液晶 / ER効果 / 無機ナノ粒子 / ハイブリッド / Side-end型 / Side-on型 |
Research Abstract |
前年度末に一部修正したした研究計画に基づき,無機ナノ粒子として金ナノ粒子を用いた系について集中的に研究を行った.前年度に低分子液晶(4-シアノ-4'-ペンチルビフェニル,以下5CB)との相溶性およびそのER効果について検討した,Side-end型のシアノビフェニル誘導体(以下SH-10OCB)とデカンチオールとを導入した表面修飾金ナノ粒子(以下GNP-DT-10OCB)について,さらに検討を進めた.具体的には,GNP-DT-10OCBの大量合成を行い,これを種々の濃度で5CBと混合した系についてER効果の測定を行った.その結果,20wt%の添加率の場合において,5CBと比較して電場印加下で大きな降伏応力,粘度増加,およびシェアシニングを示し,電場印加によりGNP-DT-10OCBの高次構造形成が示唆された. また,前年度に未達成であったSide-on型の液晶基を導入した系についても検討を行った.具体的には,ビフェニルベンゾエートの一端にシアノ基を,他端にオクチルオキシ基を有するメソゲン基の側方にデカンチオールをエーテル結合により結合させた化合物(以下3rLC[CN])を合成し,これを金ナノ粒子に導入した表面修飾金ナノ粒子(以下GNP-3rLC[CN],およびこれをヘキサンチオールとともに金ナノ粒子に導入した表面修飾金ナノ粒子(以下GNP-C6-3rLC[CN])を合成した.それぞれについてTG測定を行った結果,GNP-3rLC[CN]およびGNP-C6-3rLC[CN]には,それぞれ45wt%および31wt%の割合で有機物が被覆していることが分かった.しかし,POM観察およびDSC測定を行った結果,これらの化合物は液晶性を示さないことが明らかになった.これは,被覆しているメソゲン基の液晶相の発現温度範囲が狭いことや,メソゲン基の被覆率が低いことが原因であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の研究成果に基づき一部変更した計画に従って,表面修飾金ナノ粒子に関する検討を重点的に行った.具体的には,Side-endタイプの表面修飾基を導入した表面修飾金ナノ粒子についての検討に加え,Side-onタイプの表面修飾基の合成も行い,これを導入した表面修飾金ナノ粒子を合成した.しかし,【研究実績の概要】に述べた通り,得られたSide-onタイプの表面修飾金ナノ粒子は液晶性を示さなかった.そのため,Side-onタイプの表面修飾金ナノ粒子単独でのER効果の検討は行えなかった.この点が未達成となっているため,「やや遅れている」との自己評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度末に一部修正した平成25年度の計画において,一部未達成となっているSide-on型表面修飾基を導入した表面修飾金ナノ粒子(GNP-3rLC[CN]およびGNP-C6-3rLC[CN])についての検討を進める.しかし,上述の通り,これらはいずれも単独では液晶性を示さなかった.そのため,平成26年度はこれらの大量合成を行うとともに,それぞれの表面修飾金ナノ粒子と5CBとの相溶性について検討する.その後,それぞれの表面修飾金ナノ粒子と5CBとを種々の混合率で混合した系についてER効果の測定を行う.得られた結果から,金ナノ粒子を用いたハイブリッド型液晶性無機ナノ粒子のER効果についての検討結果についてまとめる. また,研究の効率的な遂行という立場から,当初計画とは異なり,平成24年度および25年度においては,無機ナノ粒子として金ナノ粒子を用いた系に焦点を絞って研究を展開してきたが,平成26年度においては,金ナノ粒子に関する研究の進捗状況に応じ,他の無機ナノ粒子を用いた系についての検討を並行して行う予定である.その際の研究計画は当初計画の順序で遂行する予定であるが,最終年度であることを考慮し,金ナノ粒子における検討結果に基づき,導入するメソゲン基の構造,メソゲン基と非液晶基との導入比率,5CBとの混合比率などについて,大きなER効果を発現する可能性のある組み合わせに集中して研究を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の経費執行はほぼ計画通りであったが,人件費・謝金については研究の進捗状況の関係から使用しなかった.この分については物品費として有効に活用した.ただし,物品費の単価の関係から,わずかな未使用分が生じた.これについては,平成26年度の研究における物品費として有効に活用する予定である. 上述の通り,平成26年度は特にSide-onタイプの液晶基を金ナノ粒子に導入した系における5CBとの相溶性とER効果について,ならびに他の無機ナノ粒子に液晶基を導入した系について研究を行う予定であり,研究経費のうち消耗品費はこれらの化合物の合成に必要な試薬の購入ならびにER効果などの物性測定に必要な測定用治具などの購入に用いる.また,旅費は本研究課題における研究成果を国内外の関連学会において発表するために用いる.
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