2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連物質を模倣したイオン液体による電顕用可視化剤
Project/Area Number |
24656026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米澤 徹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90284538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 薫明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40374566)
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Keywords | イオン液体 / 電子顕微鏡 / 走査型電子顕微鏡 / 生体試料 / 可視化 / 導電性 / 赤血球 / コリン |
Research Abstract |
本研究では、イオン液体を用いて、湿潤状態の生体関連資料の走査型電子顕微鏡観察の実現とその応用展開である。イオン液体とはいわゆる有機の常温溶融塩のことで、水・油とも異なる第3の溶媒として注目されている。塩であるので、当然真空中で蒸発しない上に、電気を通すために導電性のない試料に薄くコートするだけで、その表面がチャージアップせず走査型電子顕微鏡観察が可能となる。今回の課題では、特に水と置換することが可能な低分子量のイオン液体での観察である。 今年度は、昨年度に引き続き、細胞表面の直接詳細観察を試み、「柔らかい細胞」の代表例である赤血球の観察を行うことができた。従来、赤血球を走査型電子顕微鏡で観察すると、乾燥状態のものしか観察できなかったが、低倍率では光学顕微鏡で見られるような像を得ることができた。これまでも、イオン液体での細胞観察の例はいくつかあったが、赤血球のような柔らかい細胞の観察例は報告されておらず、新規な生体物質を模倣した我々のイオン液体によって可能になったものと認識される。また、特異的変形をした赤血球も見つけることができ、このイオン液体の有用性が改めて示された。 このイオン液体は、市販されたが、電子顕微鏡へのダメージもこれまで報告されておらず、今後の発展が期待できる。
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Research Products
(12 results)