2013 Fiscal Year Research-status Report
非線形誘電率顕微鏡を用いた原子双極子モーメントの可視化と原子種の同定
Project/Area Number |
24656027
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長 康雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40179966)
|
Keywords | 走査型非線形誘電率顕微鏡 / 原子双極子モーメント |
Research Abstract |
本年度は以下の様な成果があった. 前年度までの基礎研究を受けてNC-SNDMをベースにした表面電位の定量的測定手法 (Scanning Nonlinear Dielectric Potentoimetory: SNDP) を提案し, その有効性をSi(111)-(7×7)表面における形状像と表面電位像の同時観察により実証した.本手法は,容量の電圧依存性を純電気的に測定するSNDMの特徴を活かした方法であり,静電気的な力勾配の検出をベースとして接触電位差を定量化している既存のKPFMと異なり,表面双極子に由来する局所表面電位を定量できるユニークな手法として発展させられる可能性がある. 次にNC-SNDMの新領域への応用として,次世代の超高速電子デバイスなどへの応用を目指して近年盛んに研究されているグラフェンの評価に関する研究を開始した. 4H-SiC(0001)基板上に形成された単層グラフェンの原子分解能像を得ることに成功すると同時に,上記の新規手法SNDPを適用し,形状像と表面電位分布の同時観察にも成功した.更に微小で計測が難しいSi(100)面の形状像と双極子モーメント像,及び表面電位の取得に成功した.これらの成果および導体における非線形誘電率の起源に関する理論の構築により,NC-SNDMをグラフェン-基板界面層の原子レベル評価や高感度な局所量子容量測定手法として応用展開できる可能性が示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では予想されていなかった双極子由来の表面電位を計測できる(Scanning Nonlinear Dielectric Potentoimetory: SNDPを開発するなど,当初の計画以上に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で新規に開発した,NC-SNDM法をベースにした原子双極子由来の表面電位の定量計測法(SNDP)と従来のNC-SNDM法並びに,開発を進めている超高次非線形誘電率顕微鏡法を有機的に組み合わせて原子分解能SNDMの更なる分解能の向上・適応範囲の拡大を図る.またこの新規SNDM装置にトンネル電流及び原子間力も同時に計測するシステムを組み合わせることにより,多角的な評価も行えるようにし,非線形誘電率顕微鏡を用いた原子双極子モーメントの可視化と原子種の同定更に進める.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,少額の消耗品で研究成果が大きく上がったためであり,これを更に発展させるためには,次年度に集中して研究費を投資する必要が出たため. 導電性カンチレバー,PrIr探針,計測用単結晶基板等の物品費,研究成果発表旅費,外国語論文の校閲費等に使用する.
|
Research Products
(23 results)