2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656028
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 武志 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90363382)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 単層材料 / 電子顕微鏡 / 触媒 / グラフェン |
Research Abstract |
1. MoS2粉末からブチルリチウム溶液を用いて、リチウムのインターカレーションによって単層MoS2を効率的に作製した。その後、高分解能走査電子顕微鏡によって、単層内に金属層(1T)と半導体層(2H)が混在していることが明らかとなった。電顕内で試料を数度ずつ傾け、回折像を系統的に観察することで、薄膜のゆらぎ(ripple(えくぼ)構造)を評価した。その結果、化学的処理によって作製したMoS2のripple構造は、機械的に剥離されたMoS2のripple構造とほぼ同じであった。また、1T相と2H相の界面は整合界面であることを明らかにし、金属/半導体整合界面による機能性デバイスへの可能性を拓いた。 2.MoS2の場合と同様にWS2粉末からブチルリチウム溶液を用いて、リチウムのインターカレーションによって単層WS2を効率的に作製した。剥離する前、WS2は半導体である2H構造をとる。しかし、インターカレーション後は金属層である1T相が主相となる。300Cで加熱すると1T相は2H相へ変化することが分かった。1T相を高分解能走査電子顕微鏡で観察すると、特徴的な迷路のような超格子像が得られた。そして、水素発生反応(HER)の触媒特性を評価すると金属層(1T)相において、Ptに匹敵するような高い触媒特性が得られ、長時間(120h)、1万サイクル試験でも触媒は劣化しなった。Turn over frequencyは0.043s-1と評価され、従来報告のあったMoS2よりも約2倍高かった。これは超格子のジグザグの格子による局所ひずみによるものであると考えられる。第一原理計算と組み合わせることで、エッジ部が触媒活性点とする従来の現象だけでなく、マトリックス中の超格子が活性点になるという新しい現象であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルクMoS2から単層材料MoS2を化学的に大量に生産できる手法を確立し、その詳細な原子構造を明らかにした。また、MoS2と同様に化学的手法による単層WS2の作製に成功し、水素生成反応(HER)において白金に匹敵する高い触媒能を明らかにしたので、社会的インパクトは大きいから。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、種々の条件で作製されたMoS2とWS2の原子構造の詳細を調べると共に、これまでに報告されてないような新奇の半導体単層材料の創成につとめる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(2 results)