2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 勝寛 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00211938)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、透過電子顕微鏡中の試料の局所領域の温度を正確に測るための、あのサイズのデバイスを創製することを目的とする。フィラメント直接加熱型試料ホルダー、集束イオンビーム(FIB)加工装置を組み合わせることにより、Wedge Shape 試料やNeedle Shape試料を作製し、試料の融解現象にともなう固・液界面位置の温度依存性によりnm サイズの位置精度で局所温度を正確に測定することを目指す。24 年度は、Wedge Shape 測温体より量産が可能でサイズが小さい(1)Needle Shape 測温体の作製および(2)μSampling の可能性を検証した。まず、高融点金属(Pt, W, Mo)の基板上へ、低融点金属を上に蒸着した。その後、試料表面に1μm 径程度のダイアモンド粉末を塗布し、数分間Ar イオンミリングでイオンシャドウ法を行う。Ar イオンビームの設定条件でNeedle の頂角を制御た。その後、試料表面を再度PlasmaCVD 保護膜で覆った。高融点金属と低融点金属の組み合わせは、状態図からの考察から、Sn-Cu、Sn-Alなどいくつかの組み合わせを試した結果Si-Auが最も安定して作製でき、かつ広い温度範囲で固・液界面の移動が観察できることがわかった。また、Needleの頂角は24°程度のものを作製する条件を見出した。Si表面をアルゴン水素還元ガス雰囲気下でスパッタリングを用いてクリーニングした後Auを製膜することで安定した界面を作製できることが分かった。固・液界面の形成を、共晶温度である363℃近傍で観察できた。固・液界面の移動度を、バルク近似モデルと比較したところ移動係数が一桁近く異なった。界面エネルギーを取り込んだ熱力学モデルとの比較をを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さまざまな系の探索の結果Si-Auが最も安定して作製でき、かつ広い温度範囲で固・液界面の移動が観察できることが分かり、使用物質系を固定することが出来た。また、より敏感に測温するためにはNeedleの頂角は鋭いほどよく、最も鋭いもので24°程度のものを作製する条件を見出した測温体の形状を最適化することが出来た。安定したSi-Au界面を形成するためには表面をアルゴン水素還元ガス雰囲気下でスパッタリングを用いてクリーニングした後Auを製膜するという技術的なポイントも明らかにすることが出来た。(1. 測温体の作製100%達成)固・液界面の形成を、共晶温度である363℃近傍で観察でき固・液界面の移動度を実験的に測定できる段階まで進んだ(実試料の測定+α50%)。しかし、固・液界面移動度は最も単純なバルク近似モデルと比較したところ移動係数が一桁近く異なった。これは、最初から予想されていたことであるが界面エネルギーを取り込んだ熱力学モデルをリファインすることで、より正確に予測することが出来ると考えられ、より精密な理論式の構築を進めている。Needle試料のμ-Samplingに関しては、当初予想していたよりはるかに多くのRedepositionが形成されることがわかり、測温Needleの取り出し方法を再考する必要が生じた(2. μ-Sampling 30%達成)。また、実験の過程でNeedle表面で、非常に薄い液相膜の形成が観察され、高融点金属の固・液界面の原始レベルでの構造解析の可能性という新しい可能性が示唆された(新しい研究の芽+α30%)。
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Strategy for Future Research Activity |
固・液界面の移動度を実験的に測定できる段階まで進んだが、固・液界面移動度は最も単純なバルク近似モデルは移動係数が一桁近く異なるため、界面エネルギーを取り込んだ熱力学モデルを用いてより正確に予測することを試みる。Needle試料のμ-Samplingに関しては、当初予想していたよりはるかに多くのRedepositionが形成されることがわかり、測温Needleの形状を崩さずに、試料任意箇所に設置するには手法の改良が必要である。測温Needleの形成をイオンシャワー法にとらわれず、FIBによる研削をより積極的に使用した方法を模索し、Needleへ形成する前にμ-Samplingを行い、測定試料上でNeedleを形成する方法を探る。また、Redepositionの形成がより少ないXeやHeイオンビームを用いたFIBによる作製を試み、実試料での測温行えるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として:高純度金属試料(50万)、透過電子顕微鏡加熱ホルダー用フィラメントカセット作製費 (30万) 謝金等として:名古屋大学超高圧電子顕微鏡施設でのGaFIB使用料 (50万)、物質材料研究機構でのHeFIB加工依頼料 (30万) 旅費として:米国M&M(Microscopy and Microanalysis 2013)での研究発表のための旅費 30万を予定している。
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[Journal Article]2012
Author(s)
K. Sasaki , H. Saka, M. Hattori, S. Arai, N. Tanaka and T. Yamamoto
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Journal Title
Microsc. Microanal
Volume: 18 (Suppl 2)
Pages: 1168-1169
DOI
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