2012 Fiscal Year Research-status Report
電子線励起プラズモンを用いたバイオイメージング技術の開発
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24656050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新岡 宏彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70552074)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バイオイメージング / プラズモン / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
金属ナノ粒子のプラズモンによるカソードルミネッセンス(CL)光の発光増強を評価するため、CL光を発する蛍光体薄膜の作製を行なった。材料元素を溶解した試料溶液をシリコン基板上に滴下し、スピンコート法により薄膜とし、その後焼成(ゾルゲル法)することによりY2O3:Euの蛍光体薄膜作製に成功した。作製した蛍光体薄膜に電子線を照射すると波長614 nm付近にEuに由来する鋭い発光ピークが計測された。また、一層の蛍光体薄膜では発光強度は弱かったが、スピンコート法と焼成を繰り返すことにより薄膜を二層三層と積層させ、厚さ数μmの蛍光体薄膜作製に成功し、充分なCL発光強度を得ることができた。 プラズモンによる発光増強効果を見積もるために、蛍光体薄膜は場所に依存せず均一な強度で発光することが望ましい。作製した蛍光体薄膜表面はにはnmオーダーの微小な凹凸が見られ、発光増強度の定量評価に影響がある可能性がある。今後凹凸についても考慮し、必要があればより平坦な蛍光体薄膜作製を目指し、焼成温度や材料元素の濃度等を調整する。 蛍光体薄膜作製と平行し、研究を加速させるために自作のSEM-CL顕微鏡システムのを作製を行なった。PCからの外部信号により電子線スキャンを制御しとSEM像の取得を可能とした。さらに、SEMに楕円面鏡とファイバーからなる光学系を取り付け、試料からのCL光をSEM試料室より外部に導出できるようにし、分光器とCCDによりCL光を計測できるシステムの構築を行なった。今後、本装置を用いてプラズモンによるCL発光増強を定量的に評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SEM-CL顕微鏡システムの構築及びY2O3:Euの薄膜作成については概ね達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
金属ナノ粒子を用いて、蛍光体からのカソードルミネッセンス(CL)光の増強を行なう。プラズモン共鳴周波数の異なるプラチナ、アルミニウム、銀、金のナノ粒子を用いて、発光波長の異なるそれぞれの蛍光体(Y2O3:Eu, Y2O3:Tm, Y2O3:Tb)のCL光増強を行なう。平行して、プラズモン増強バイオイメージング用蛍光体ナノ粒子の作製を行なう。この新規ナノ蛍光体粒子を用いて、CL顕微鏡によるバイオイメージング時間の短縮を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置に必要な装置はほぼ購入済みであり、次年度は主に試料作成用の薬品や基板等を購入する。具体的には蛍光体材料である希土類硝酸塩やシリコン基板あるいはサファイア基板である。
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