2012 Fiscal Year Research-status Report
酸化亜鉛ナノシートを用いたランダムレーザチップの実現
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24656053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 龍雄 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (90127994)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ZnO薄膜 / ナノシート / レーザー加工 / シリカビーズ / マイクロレンズ効果 |
Research Abstract |
24年度は,ナノレーザ加工のための加工条件の最適化のために,取り扱いが容易なZnO薄膜を対象に加工実験を行った。 まず,PLD法を用いて試料となるZnO薄膜を作製した。ZnO焼結体を2 mTorrの酸素ガス雰囲気中で波長355 nmのNd:YAGレーザーの3倍波でアブレーションし,500℃に加熱したc-カットサファイア基板上に被加工用のZnO薄膜を作製した。AFMで測定した薄膜の平均荒さは3.2 nmであった。次に,これを加工するため, ZnO薄膜上に市販の直径1μmのシリカ微小球を分散させた溶液をスピンコート法により薄膜上に塗布した。その際,溶液の表面張力を低下させるためドデシル硫酸ナトリウムを添加した。スピンコーターの回転数2000rpm, 回転時間30秒の時,薄膜上にビーズが最密充填構造で配列した単層膜を作製できることを確認した。 次に,このシリカ微小球を通して,ArFレーザー光を 290 mJ/cm2のエネルギーフルエンスで照射し,この試料をエタノールで30秒間超音波洗浄してビーズを取り去り,薄膜の表面をAFMで観察した。その結果,ビーズの配列に対応して周期1μmの加工パターンを確認することができ,ZnO薄膜をシリカビーズのマイクロレンズ効果で加工できることを確認した。また,AFMにより計測した加工痕の寸法は,加工穴の直径約500 nm, 加工深さ40 nmであった。 これと並行して,炭素蒸発熱CVD法を用いてZnOナノシートの作製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画では,ZnOナノシートの加工に先立って,取り扱いが容易なZnO薄膜を対象に加工実験を行うことを計画していた。具体的には,(i) ZnO薄膜試料の作製, (ii) ZnO薄膜上にシリカビーズを最密充填構造で配列した単層膜を得る,(iii) これにレーザーを照射してZnO薄膜の加工を実証する,ことを主要な目標としていたが,ほぼ計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,まず薄膜を対象に行った加工をZnOナノシートに適用するとともに,並行してZnO薄膜を対象にシリカビーズに微細加工が発光特性に及ぼす影響を調査する。具体的には,ZnOナノシートの加工に関しては,単一のZnOナノシートの上にシリカビーズを塗布するのは技術的に困難が予想されるので,まずZnOナノシートにビーズを塗布する手法をさまざま試行錯誤的に試み,塗布する手法を確立する。その後,ZnOナノシートのレーザー加工を実施する。また,ZnO薄膜については,シリカビーズをランダム配置して加工を施し,顕微蛍光分光法を用いて加工がZnO薄膜の発光特性に及ぼす影響を明らかにする。さらに,より効率よくZnOナノシートを作製する手法についても実験的に検討する。これらを合わせてZnOナノシートでのランダムレーザー発振を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薄膜作製用サファイア基板 レーザー用ガス 国内旅費
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