2013 Fiscal Year Annual Research Report
パルスレーザーによる高分子ナノワイヤー生成機構の解明
Project/Area Number |
24656058
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
後藤 真宏 独立行政法人物質・材料研究機構, MANA, MANA研究者 (00343872)
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Keywords | 高分子ナノワイヤー / パルスレーザー / 時間分解測定 / ナノワイヤー |
Research Abstract |
高分子ナノワイヤーは、その微小なサイズ効果から、マクロなサイズの材料が持つ特性を凌駕する光学特性、力学特性、電気的特性を有しており、様々なデバイスへの応用が期待されている。従来、高分子ナノワイヤーは、ポーラスアルミナ材料をテンプレートとして作製されてきた。しかし、本プロセスはエッチングを必要とすることから、使用できる高分子材料の制限があり、また、細いワイヤー径(数十nm以下)の実現は困難であった。最近、我々は、高分子膜にパルスレーザーを集光照射すると高分子ナノワイヤーが成長する現象を世界で初めて発見した。これは、極めて不可思議な現象であり、その新現象の理解やメカニズムの解明が期待されていた。 本研究で、高分子ナノワイヤー成長過程の時間分解可視化システムを構築し、高分子ナノワイヤーの成長過程をシャドグラフィーイメージで撮影することに成功した。条件を最適化すれば約200ミクロン長レベルの高分子ナノワイヤーも作製可能であり、その場合でも3μs程度にて、成長過程は完了することが明らかとなった。レーザー光の集光位置の変化による高分子ナノワイヤーの成長現象の影響(例えば長さなど)や成長に最適なレーザー光強度についての知見を得た。さらに、高分子ナノワイヤーへナノ構造材料をドーピング可能かどうか試みた。試行錯誤を繰り返した後、未添加のものと比較すると、最適条件は変化するが、ナノ構造材料含有高分子ナノワイヤーの作製に成功した。ドーピングの確認のために、電子顕微鏡ならびにエネルギー分散型X線分光分析法を用いて、評価・解析を行なった。その結果、高分子ナノワイヤー骨格中にナノ構造体(直径15nmのナノ酸化鉄粒子)が均一に分布していることを明確にした。このように、ナノ構造体を高分子ナノワイヤーの中に導入し、機能性を有した高分子ナノワイヤーができることを発見した。
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Research Products
(9 results)