2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高強度-高導電性水素化銅チタン合金線の開発と非破壊100テスラ磁場発生
Project/Area Number |
24656059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳴海 康雄 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50360615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パルス強磁場 / 銅チタン合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パルスマグネットを用いた強磁場発生法に関する中核技術として、銅チタン合金を材料とするコイル線材の開発を行うものである。非常に強い磁場発生時に、パルスマグネットのコイル部分には1万アンペア以上の大電流が印加される。そして、その大電流が作り出す強磁場と電流自身との相互作用によって、コイル線材には外側に広がる非常に強い電磁応力が生じる。超強磁場領域におけるこの応力は線材の機械的強度を上回る値となり、強磁場発生の限界を決めるコイルの変形を引き起こす。従って、線材自体の力学的強度を高めることは本質的に飛躍的な磁場発生技術の向上につながると期待される。本研究の目的は、パルス磁場発生において従来あまり利用されてこなかった銅チタン合金を用いて、100Tを越える磁場の発生を可能にするコイル線材の開発を行うことである。前年度までに、コイル線材の基礎となる母合金の鋳造から、冷間圧延によって最終的な形状となる平角線の製作を行った。得られた平角銅チタン線に対して、コイル製造過程で想定される曲げ加工などの耐久試験を行ったところ、高い引張強度を有しているものの、90度曲げによって亀裂が生じる(靭性が低い)ことが確認された。そこで本最終年度では、導電性を向上させながら靭性も回復させることができる熱処理条件の探索を行った。その結果、予備熱処理として塩浴炉での600℃程度での短時間の熱処理により靭性が向上することを確認した。また、大気もしくは水素中の400℃時効によりビッカース硬さ350Hv(引張強度1250MPa相当)、導電性15%IACS(焼鈍銅線との比較)を得ることができた。
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