2012 Fiscal Year Research-status Report
新しいフォトリソグラフィーでマイクロ流路の側壁にデバイス機能を付加する
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24656066
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
熊谷 慎也 豊田工業大学, 工学部, 准教授 (70333888)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロマシン / マイクロ流体デバイス / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
本研究では、フォトレジストのスプレーコーティングプロセスと斜め露光技術を基盤とする3次元リソグラフィー技術でこれまで使われていなかったマイクロ流路の側壁にデバイス機能を付加することを目指している。 レジストスプレーコーティングの流れ解析では、遮蔽版を用いたコーティングプロセスを対象として進めた。遮蔽板回りの境界条件の取り扱いを考慮して、Navier-Stoke式をMAC法を用いて解き、流れの時間発展を視覚化した。遮蔽板を導入することで、基板に斜めに入射するガス流れが遮られ、開口部を通過した直進性のよい流れを利用することができる。開口部を通過後した流れは基板に衝突して、水平方向に大きく方向を変える。慣性力に従って進むレジスト微粒子は、そのまま基板表面に入射すると考えられる。均一なレジスト成膜が期待できる。 実験では、トレンチ形状サンプルへの均一成膜を進めた。スプレー繰り返し塗布、サンプル温度制御等を行い、良好なレジスト成膜結果を得た。さらに、本スプレーコーティングと斜め露光技術を組み合わせて、マイクロ流路の側壁部に電極構造を作製した。トレンチを作製したシリコン基板に対して、金属薄膜堆積、スプレーコーティング・斜め露光によるレジストパターン作製、エッチングの工程を行い、熱電対として機能するAl/Cr電極を試作した。試作した熱電対デバイスを加熱したところ、熱起電力の発生を確認した。本試作デバイスでは流路の近傍にも参照用の熱電対を配置している。流路近傍に配置させた熱電対と流路内に設置された熱電対は、ほぼ同じ温度上昇傾向を示した。その後、シリンジを利用してマイクロ流路に空気を流入させたところ、流路側壁に配置した熱電対のみが、温度の低下を示した。マイクロ流体の温度を正確にモニタリングするためには、流路内に温度センサ(熱電対)を配置しなければならないことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験面では、レジスト成膜試験、デバイス試作を進めてきている。理論解析では、計算コードの見直しを通じて、スプレーコーティングプロセスの流れ解析に適した計算コードを作り上げてきた。一方の電場計算では遅れがあるが、幸いH24年度に研究室に汎用の高速計算機が導入された。本機器を有効に利用して研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度はデバイス試作に特に注力する。トレンチ側壁に電極をつくり、パーティクル分離能の評価を進めていく。 昨年度H24年度は、側壁に試作した電極を熱電対用途に使用できることが明らかになった。マイクロ流体の「その場」温度計測に成功し、バイオ用途に用いられるマイクロ流路デバイスにおいて、細胞・タンパク質の精密計測につながる成果である。本方向への発展も検討に含めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、消耗品用途に使用する。
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Research Products
(2 results)