2013 Fiscal Year Annual Research Report
非定常波動問題に対する時間域境界要素法の高速アルゴリズムの開発と応用
Project/Area Number |
24656072
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 徹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90360578)
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Keywords | 境界要素法 / 高速多重極法 / 波動方程式 / 関数補間 / 反復解法 / 音響問題 / 高速解法 / 非定常問題 |
Research Abstract |
【最終年度に実施した研究の成果】 最終年度は、本研究が提案する時間領域高速境界要素法に関して、(1)前年度のとりまとめ、(2)副次的な計算量の軽減、(3)電磁波動問題への拡張、を目的とした。目的(1)に関しては、Journal of Computational Physics誌に2013年5月にフルペーパーを投稿した。査読者からの提案もあって、投稿時点では予定のみとしていた目的(2)の成果も取り入れる方向で論文受理に至った。目的(2)は、FFTを利用することにより、計算コスト上で問題となるM2L計算の計算量を低下することに成功し、全体の計算を加速できた。他方、目的(3)のスカラ波動問題から電磁波動問題への本手法の拡張は今後に課題を残した。現時刻ステップの計算を行うにあたり、過去の全ステップの諸量を記憶することを前提とすれば、スカラ波動問題に対する定式化を流用できると考えられるが、記憶容量の観点から困難である。根本的な原因は、電磁気問題の積分方程式には、スカラ波動問題のそれとは異なる階数の時間微分が含まれていることである。これは、スカラ波動問題で用いた時間基底とは別種のものを用いる必要性を示唆するが、その具体的な選定、そして、高速アルゴリズムの構成は未解決である。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 本研究は、関数補間をベースとする高速多重極法を、時間領域の3次元境界要素法に対して新規に提案した。構成した高速境界要素法の必要計算量のオーダーは従来の境界要素法のそれよりも小さいことを示した。提案手法の計算精度、安定性、および、異種の波動問題への拡張に関しては課題を残したが、本研究は境界要素法分野(特に近年盛んな高速解法の開発)において非常にユニークな研究であり、学術的な発展ばかりでなく、音響問題等への産業的な貢献にも期待が持てる。
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Research Products
(1 results)