2013 Fiscal Year Annual Research Report
音響共鳴顕微鏡の実現と燃料電池用電解質膜の吸水特性モニタリング
Project/Area Number |
24656076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
燈明 泰成 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374955)
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Keywords | 音響共鳴 / 顕微鏡 / 燃料電池 / 電解質膜 / 吸水特性 |
Research Abstract |
1.高分子膜物性値の画像化 電着塗料膜の物性値の取得と膜厚分布の画像化を試みた。はじめに鋼板上に施工された塗料膜に対する音響共鳴現象を観察して音響物性値を取得した。次に収束型超音波探触子を走査して音響共鳴周波数の面情報を得て、これと先に取得した塗料膜の音速より塗料膜の膜厚分布を取得することに成功した。取得した塗料膜の膜厚分布はまだら状で、鋼板上に施工された塗料膜の厚さにゆらぎが存在することを明らかにした。 2.高分子膜の熱劣化状況の可視化 音響共鳴板として透明な石英ガラス板を用いる音響・光学融合観察技術を用いて、熱劣化状況の異なる直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)薄膜を観察した。115度に加熱したヒーターにLLDPE薄膜を直接接触させた場合は薄膜の密度が増大し、音速は低下した。対応する領域の光学顕微鏡像では微小なセル構造の形成が認められ、上述の音響物性値の変化が薄膜の結晶化を捉えていることを明らかにした。一方、100度に加熱した大気炉中に10時間放置したLLDPE薄膜でも同様な音響物性値の変化が認められたが、この場合は光学顕微鏡像には変化が現れず、音響物性値の変化が薄膜の酸化の進行を捉えているものと推察された。 3.燃料電池用電解質膜の水分吸収量モニタリングの挑戦 音響共鳴板と空気との間に高分子薄膜を挿入し、音響共鳴板から高周波数超音波を入射して当該薄膜に対する音響共鳴現象を観察することに成功した。この成果は吸水性の燃料電池用電解質膜の水非接触状態における音響物性値の導出を可能にし、同膜の水分吸収量をモニタリングする上で有益な成果である。 その他、本研究で構築した理論モデルを活用して、高分子薄膜を介して被検査物に超音波を送受信する超音波伝達系において、高分子薄膜を周波数フィルタとして活用する方法を提案した。
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